青い花 番外編

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Aside



貴｢あ、いた…｣
｢あ、Aさん｣

滝本くんが見つかったのは
C-2から結構遠くにある
あまり人通りもない角っこにある
小さな休憩スペース。

｢…やっぱり迷っちゃいました｣
貴｢だと思った｣
｢すみません｣
貴｢…まぁ、方向音痴はね、しょうがない｣
｢なんて言うと思いました？｣
貴｢え？｣
｢なんで、こんな人気のないとこに
1人で来れたんです？｣

あまりに変な質問に顔を向けると
滝本くんはいつもの人懐っこい顔じゃなかった。

貴｢えっ、と、それは、どういう…｣
｢言ってることわかりませんか？｣
貴｢え？｣
｢バカですね｣

滝本くんの話すスピードと
あたしの頭が理解するスピードが合わず
整理がつかないまま、

気がつけば、滝本くんとの距離は数cmしかない。




貴｢なに、してるの｣
｢…わかりませんか？キスしようとしてるんです｣
貴｢一応先輩なん、だけど｣
｢そんなの知ってますし、今関係ない｣
貴｢からかうのはやめなさい｣
｢からかってません｣


顔の距離は変わらず、ドキドキもしない。

彼氏でもない人からキスをされそうになる
誰がどう見ても、明らかにピンチな場面なのに
相手が海ならドキドキしたな、




なんて呑気なことを考えてた。



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