恋なんて知らなかった (ページ19)

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過去編 6 ページ19

貴「何故...何故ですかぁぁぁぁ！！！」

わたしは叫んだ。当然父様達にも声は届いた。

父「Aっ！」
母「来ていたのっ！？」
婆「俺にはお涙プリーズなシーンはいらねぇ。さっさと死ね」

ガキィィンッ！グサッ、ドスドスドスッ！

父「ごぼぼっ、がはぁっ...」
母「あな、た...」
婆「次は女の番」
母「待って！」
婆「あ？命乞いか？」
母「そんなことはしないわ。最愛の娘のために時間を頂戴」
婆「10秒な」
母「A。ごめんなさい。母様と父様はあなたをこの世で誰よりも愛している。生きて...生きて幸せに『はぁい、時間切れぇぇ』っ！」

スッパァァン！

貴「嘘...ですよね？...父様...母様...」

べチャリと音をたて母様の血だまりの上に父様の体が落ちた。

婆「うへ！うへへへ！いい呪力！こいつぁいいメシだぜぇ！今日はこの辺でぇ！じゃあな東雲のガキ。次会うときはお前だ」
貴「婆娑羅...わたしはおまえを『一つ言い忘れてたんだが』！？」

婆娑羅がこちらを振り向く。その目に宿った感情は紛れも無い怒り。そして蔑み。

婆「お前の親とやらは俺に情けをかけた。俺が焦っている顔が見えたんだろうがな。力を弱めて来やがった。その甘さを逆手に反撃させてもらったぜ」
貴「ひ、ひどい！」
婆「戦いで甘さを見せれば命取り。それがこいつらだなぁ。一つ覚えておけ。戦いに甘さはいらねぇ。標的は殺すまで、とな」
貴「いつかおまえを...」
婆「いつか...だな。その前にもっと強くなれ」

婆娑羅は去っていった。情けない怖い嫌い何もできなかった不甲斐ない見てるだけだった最低死んでしまったもう戻らない...

貴「戻って来て...父様...母様...」

ベチャッベチャッベチャッ

歩く度に血を踏む音。吐き気がしたが気にしない。父様と母様の元へいく。しかしズタズタに切り裂かれて分からなくなっていた。

貴「あぅぅぅぅっ！ぐぇぁぁっ！ぁぁぁぁ！」
有「き、君っ！？」

膝から崩れ落ちた。服が血に浸る。鉄の匂いがむわっと鼻に入り込む。涙が零れる。頬を伝ってとめどなく。

貴「どぉぉざまぁぁ！があっ、さまぁぁ！いつがっ、いづかわたしがぁぁぁ！」

叫ぶようにわたしは泣いた。ひとしきり泣いて疲れた。生きるにも価値が見出せない。

貴「あぁ生きるのにも疲れたな...」

そこでわたしの記憶は深い闇へ沈んでいった。そのときわたしの心に残っていたのは

・

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「戦いに甘さはいらない。標的は殺すまで」
婆娑羅の言葉だった。