恋なんて知らなかった (ページ13)

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過去編ページ13

今日はとても穏やかな晴天。
わたし達はある丘の上に来ている。
そよ風がふわぁっとわたしの頬を撫でていく。

貴「父様！母様！ここはどこですか！？とっても景色がいいですね！」
母「ここはね、父様と母様の思い出の場所なのよ。ここで父様と母様が出会ったの」
父「この丘はね、今の時期は色んな花が咲き乱れて花畑のようになるから、母様と父様のお気に入りの場所だったんだよ」
母「今日は父様と母様の思い出の場所にあなたを連れてこようと思ったのよ」
貴「そうなのですか！わたし、とても嬉しいです！また、来たいです！いいですよね、父様、母様！」

ここは本当にキレイ。街へ戻れば禍野だのケガレだのと言ったことばかりだけれどここに来ればそんなものが存在しないかのようにのどか。

母「ふふっ。そんなにここが気に入ったのね？.........でもね...」
貴「何ですか？母様？」
父「もう、ここへ来ることは出来ないんだよ」
貴「何故です？こんなにもキレイな所なのに！」
母「もうじき父様と母様は戦いに行く。この世界を、あなたを守るために」
貴「でもっ！それが終わったらここへっ...」
母「ごめんなさい。A。きっと私達は、死んでしまうの」
貴「どっ、どうしてっ！？どうしてですかっ！？母様と父様は強いじゃないですか！」
父「今回ばかりは、父様達にも敵わない相手なんだ。」

父様と母様はとても悲しそうな、でもとても愛に満ちた目をしていた。そんな顔をしないで下さい、父様、母様。わたしは認めたくありません。

貴「それなら...わたしもお供します！！」
父「何を言っているんだ！そんなのはだめに決まっているだろう！」
貴「絶対にじゃまはしません！心配もかけたりはしません！だからっ私も一緒に...『いい加減にしろ！！！！！』ビクッ！」
母「あなた・・・」
父「お前が邪魔にならずに俺たちについてくるだと！？巫山戯るのも大概にしろ！そこでお前が死んでしまったら俺たちには何も残らないだろう！？分からないのか！？」

今までに見たことない父様の怒った顔。こんなに怒るとは思っていなかった。さっきの優しい目が今はつり上がってキッとわたしを睨んでいる。

母「A...父様と母様はあなたがとても大切なの。あなたには死んでほしくないの。お願い、わかってちょうだい」
貴「な、ならっば...ヒック、わ、わたし、と、約束をっ、ふぇっく、して下さい！」

わたしは泣きながら頼み込んだ。

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