期待 ページ1
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クリスマス。多分世間では特別な日で、街を見渡すと何もかもクリスマス仕様になっている。
それは私にとっても同じことで、楽しみにしていることがある訳でも無いのに、クリスマスという言葉だけで気持ちが何となく高まるのだ。
いや、それには語弊がある。クリスマスだから無条件に嬉しくなるんじゃなくて嬉しいことがクリスマスにあったからクリスマスの評価が高いだけだ。
…と、いうのも朝起きて寝惚け眼のままスマホの電源を入れると幼馴染からメッセージが入ってて、そこで目はハッキリと覚めて慌てて内容を確認すると今日会えへんかと書かれていて、日付けを確認すると12月25日で。
こ、これはまさか…！？と思いながら行くと返信をすると指定された場所は何故か学校の図書室で。持ち物は勉強道具。
そして今に至る。
「…何でクリスマスにわざわざ勉強会なんかすんのよ…」
「まぁまぁ怒らんといて？ほら、手が止まってるで〜」
「うっさい」
私の学校は生徒の学習スペース確保の為年末年始以外は基本的に図書室を開けている。
しかしクリスマスにまでわざわざ学校に来たくないのか、図書室にいるのは私と幼馴染と片手で数えられるぐらいの人しかいなかった。
お〜こわ、だなんて言葉とは裏腹に楽しそうに笑う彼は折原センラ。
金髪のアシンメトリーによく似合う蜂蜜色の瞳。彼の顔が相当整っているものだと理解するのに数秒もかからないだろう。
何故か彼と私は幼馴染なのだ。そして不覚にも、本当に不覚にも私は彼に恋心を抱いている。
そう自覚したのはいつからか。それすらもよく覚えていないほど、ずっと彼のことが好きだった。
だからこそ、表面では不満そうな態度を取っているが、彼に誘ってもらえた、それだけで喜んでしまう私は単純だと思う。
だから期待だってしてしまって、思わず聞いてしまった。
「ねぇ、センラは何で私を誘ったの？」
「ん？決まってるやん。クリぼっちを回避するための道連れ」
…私何でこいつのことを好きなんだろう、そう思った瞬間だった。
「やってさぁ、女子ならクリパとか女子同士で平気で出来るんやろうけど俺男やし、何が悲しくて男同士で遊ぶんやって話やん？
んで俺は彼女はおらんやなくて作らんだけです〜つてことをアピるために勉強に忙しいふりをしようと思ったんやけど、クリスマスにぼっちで勉強て、本末転倒やん？
やからAも俺の道連れになって勉強しろぃ！」
「いやまじで意味分からないから」
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