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先程居た部屋よりも大分狭く例えが何とも庶民的だがカラオケボックスぐらいの個室に私と彼ーー黒崎輝さんはいた。


『邪魔者は退散して』などと言っていたくせに結局出ていくのは私達だった。まぁ正直どちらでもいいのだが。


『絶対に変な真似はしないで頂戴』これは私が部屋を出ていく際に義母から言われた一言。

さっきから思っていたことだがこの婚約に本人の意思は確認されないのだろうか。向こうの母親は『黒崎家に嫁げるだなんて光栄だろ』と言わんばかりの態度だったのでこちらに不満なんてものあるはずが無いって思っているのだろうか。


義母は当然のように乗り気だしそもそも私の意思だなんて最初から聞く気か全く無かったのだろう。その証拠に私は何も知らされなかった。


一番謎なのは黒崎さんだ。


私とは面識のないはずなのに私を指名した。その理由が分からない。

九条家がそこそこにこの世界には知れ渡っている名前だからかって考えなかった訳では無いけれど、彼は明らかに選ぶ側の立場の人だ。私よりも家柄も良く綺麗で有能な人を選ぶことだって出来たはず。したがって私が誰の手も借りずに一人で生活をしていた、なんてことも理由としては弱い。


ほんとなんで私なんだろうと思いながら彼へと視線を移すと紫色をした綺麗な瞳が真っ直ぐこちらを見ていて慌てて視線を再度外した。


「ふふっそんな慌てて視線逸らさんといて?なんやこっちも緊張してくるわぁ」

「す、すいません」

「謝らなくてええよ。あと敬語もなしな。同い年なんやし」


そう、驚いたことに彼と私は歳が同じなのだ。にも関わらず私よりも大人びいた雰囲気を保っていてあまり実感が湧いてこない。


「前みたいにるすくん、って呼んでくれてもええんやで、A?」

「え…?」

前みたいに?るす?


「その顔、覚えてないみたいやな?まぁ無理もないか、だいぶ昔のことやからな」

彼の表情が少し曇った。

「あの、何言って…」


その言い方じゃまるで私と貴方が知り合いみたいにーーでもるすって何処かで聞いたことのあるような、


「でもそんなの関係ない。Aが覚えていようと覚えていなかろうとどうだってええ。」


彼は椅子から立ち上がると私の目の前へと足を進める。どうしてだか私の体は全く動かない。

ゆっくりとこちらへ近づく彼に恐怖さえ感じる。

そして私の肩に手を置くともう片方の手を髪へと手を伸ばしするり、と手で解かした。



「やっと、俺のものになった。」

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時雨(プロフ) - ぽんずさん» コメント&通知登録ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです、これからも頑張りますね! (7月15日 21時) (レス) id: 27a105a2bf (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 読み応えある。通知登録しました!更新楽しみにしてます! (7月12日 10時) (レス) id: 98acc9f874 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - さくさん» わっありがとうございます〜!!嬉しいです、頑張ります!! (6月7日 20時) (レス) id: 9626d45726 (このIDを非表示/違反報告)
さく - この作品好きです!更新楽しみに待ってます…! (6月6日 16時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 彼方一ノ瀬さん» わぁ!ありがとうございますー!嬉しいです頑張りますねー!!よろしければこれからも読んでやってください!! (4月30日 15時) (レス) id: 54c8766224 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:時雨 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2018年11月8日 0時

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