無垢な君は檻の中【utit】

嫉妬の先に/天月 ページ3

「ねぇ、A。俺に何か、隠してることない？」



突然、彼氏の天月くんにそんなことを言われる。

それがあまりに突然すぎたから、スマホの画面に集中していた視線を「え？」と彼の方に移す。


こういう風に聞いてくるということは、大体『何かある』とクロだということを知っているが、最後のチャンスとして、相手側に委ねるということだ。


私達の関係性からして、恐らくは『浮気』のことだろうなとは予想つくが、私は天月くんに何の不満も持っていないし浮気なんてしたことが無い。



じゃあ、どうして彼はそんなことを聞くの？


その疑問が頭の中を駆け巡り、その答えを出すのに必死になっていると、はぁーと、溜息をこぼして立ち上がった。

そしてこちらを見下ろした。その目はあまりにも虚ろで冷たくて、いつもの彼ではないことはすぐに分かった。


その彼に見下ろされる感じが何だかとても怖くて、思わず私も立ち上がったが、それでも生じる身長差が今は凄く恨めしい。


「俺はさぁ、お前に最後のチャンスをあげたんだよ。正直に言ったら軽いお仕置きで済ませてあげようと思ったのに」


そう言うと彼はこちらへ近づいてくる。その様子があまりにも怖くて後ずさればドン、と背中に固い衝撃がくる。壁だ。


そして私の真横をドン、と彼の片腕が大きい音を立てる。

完全に逃げ場をなくし私はすぐ目の前にいる彼の瞳を見るしかなかった。


「…これは一体、何？」


そう言って差し出してきた携帯の画面の中を覗くと、そこには私と高校時代の男友達が談笑している姿が映っていた。


「この前たまたまショッピングモールに出掛けたら、こんなのが撮れちゃったんだけど？」

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