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標的からは勿論、周囲からも不審に思われないような尾行の仕方は昔センラさんから叩き込まれているから、それよりも難易度が低いただ一点を見張るだけなんてことは造作もなくできる。

その証拠に、私のことを怪しむ視線など、どこにも感じられない。



(…別に、この任務自体はどうだっていいんだけど、)



任務とか協定とか、そういうのってすごくどうでもいい。正直上の人達の事情なんて興味が無い。


…けど、



(…センラさんがいるから)



この任務が失敗したら、ファミリーの方に被害がくる。ファミリーにくるということは、最終的にはセンラさんのところにも被害が飛んでくるということだ。それだけは絶対にだめ、阻止しなきゃ。


グラスを持っていない方の手が無意識にドレスの端をギュッと握り締める。絶対に失敗できない。



「…おい、そろそろ行くぞ」

「ああ。今がチャンスだ」



(…ん?)



その時、私の目の前を横切った男二人がこそこそと出入口へと向かっていた。…見つけた、恐らくあの二人がそうだ。


私は彼らが出口から抜け出したのを見届けると、近くにあったテーブルにグラスをそっと置いて、出口へと向かって歩き出した。





「…ここら辺でいいだろう。おい、本当に誰もいないよな?」

「ああ。行く途中で何度か後ろを振り向いたが誰もいなかったよ。第一ここには俺達以外の人の気配すらしないんだから、心配するな」


(いやバリバリいるんですけどね)


会場から抜けた後、私は彼らに気が付かれないよう細心の注意を払いながら尾行した。
それで辿り着いた場所がここ。会場からだいぶ離れた所で、人気が全くないフロア。取引をするにはもってこいの場所だ。


人気がないからと油断しているのか、階段がすぐ隣に設置されている廊下で、彼らは立ち止まって話し始めた。

私は階段と廊下の間に隔たれた壁に隠れて、ドレスの隠しポケットに手を忍ばせた。


取り出したのは、録音機。これで証拠を撮るのだ。私はスイッチを入れて、彼らの声を撮り始める。


あとは取引の内容を録音すれば私の任務は終了だ。逃走経路はセンラさんが確保してくれているはずだから、彼からの連絡を待てばいい。



この時の私は、証拠となる音声を録音するのに夢中だった。いや、正確に言えば夢中になるあまり“背後からの刺客“に気づくことが出来なかったのだ。




「…そこでなーにしてるん?お嬢さん」

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時雨(プロフ) - なんさん» コメントありがとうございます!これからも何卒お付き合い頂けますと幸いです🙇‍♀️ (12月18日 10時) (レス) id: b85bf6c9d0 (このIDを非表示/違反報告)
なん(プロフ) - 更新めちゃくちゃ嬉しいです!作者さんのペースで更新頑張ってください! (12月17日 23時) (レス) @page48 id: 490d5409aa (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - FAMIRAさん» コメントありがとうございます!頑張りますのでこれからも何卒よろしくお願い致します😭😭😭 (2022年10月31日 22時) (レス) id: b85bf6c9d0 (このIDを非表示/違反報告)
FAMIRA - すごく面白いです!(๑>◡<๑)更新、ファイト!です!٩( 'ω' )و (2022年9月8日 17時) (レス) @page40 id: 58cb53495b (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - Yuさん» コメントありがとうございます!わわわ丁寧に褒めて頂けて恐縮です泣 これからもお読みいただけますと幸いです…! (2021年10月22日 18時) (レス) @page23 id: 27a105a2bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:時雨 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年9月4日 17時

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