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「えっと、あの…」

「…あ〜、そっか。ま自分を無理やり此処に連れてきた奴にそんなこと言われちゃそりゃ混乱もするか。でも俺別にあんたの敵じゃねぇからそこは安心していーよ。」


まただ。このなるせという男も自分は敵ではないと言う。確かに今の彼に敵意は感じられない。

あの時彼は理由は知らないが最初から私をここまで連れてくることが目的だったとするならば、あの場でこちらの構成員を襲ったのもただの工程のひとつにすぎなかったのだろう。
私の敵ではないという言葉が本当だったとしてもその過程ででる犠牲をどうでも良いと思っていそうなあたり、彼もやはり裏社会を生きる人間なのだろう。


「あの。」

「ん?なーに。」

「…あなたが、いえあなた達が敵じゃないのなら今の状況を教えてもらえませんか。正直、あなた達の目的が全く見えてこないです。」


まずは状況把握からだ。
最初はどうやって情報を収集していくか悩んだが彼等に敵意が無いのは恐らく本当だろうし、それなら実際に聞いてしまった方が早い。

私達のやり取りをハラハラした様子ではあったが黙って見ていたまふまふさんは「あっ確かにそうだね、まだ何にも説明できてなかったわ。」とこちらに笑みを向けてきた。

なるせさんもウンウンと頷いているし、どうやら本当に教えてくれるらしい。


「それじゃあ、まずはこの組織について話そうかな。」


話す体制に入るからか、机と一緒に置かれた椅子を引っ張り出すと、私の丁度正面にくるような形でそこに腰をかけた。
この部屋に他に椅子がなかったからか、なるせさんは「じゃ俺Aんとこに座っちゃお〜」と言うと私の隣に腰を沈める。この人、思っていたよりも距離感が近い。

なるせさんも座ったことを確認すると、まふまふさんは話を再開させた。


「僕達はAと同じでまぁ言ってしまえばマフィアだよ。名前はXYZ。聞いたことないでしょ?」


彼からの問いかけにないですね、とだけ返した。

XYZ。始めて聞いた名前だった。

浦島坂田船の中で一番情報収集に長けたセンラさんの直近をやっていたぐらいだったから私もあの組織の中では大分情報を所持している側の人間だったと思うが、それでも分からないということはよほど弱小なのか…とそこまで考えたところでそれはないと自身に否定した。私がここに連れてこられている時点でそんな筈がないのだから。

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時雨(プロフ) - なんさん» コメントありがとうございます!これからも何卒お付き合い頂けますと幸いです🙇‍♀️ (12月18日 10時) (レス) id: b85bf6c9d0 (このIDを非表示/違反報告)
なん(プロフ) - 更新めちゃくちゃ嬉しいです!作者さんのペースで更新頑張ってください! (12月17日 23時) (レス) @page48 id: 490d5409aa (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - FAMIRAさん» コメントありがとうございます!頑張りますのでこれからも何卒よろしくお願い致します😭😭😭 (2022年10月31日 22時) (レス) id: b85bf6c9d0 (このIDを非表示/違反報告)
FAMIRA - すごく面白いです!(๑>◡<๑)更新、ファイト!です!٩( 'ω' )و (2022年9月8日 17時) (レス) @page40 id: 58cb53495b (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - Yuさん» コメントありがとうございます!わわわ丁寧に褒めて頂けて恐縮です泣 これからもお読みいただけますと幸いです…! (2021年10月22日 18時) (レス) @page23 id: 27a105a2bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:時雨 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年9月4日 17時

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