広がる輪 ページ17
kj side
戻ってきた世界の俺は、ちょうど大学への合格を決めた直後だった。
俺は地元関西の大学へ進学することにしたけれど、この節目に上京するという友達も案外多かった。
ほとんどは大学進学のための上京だったが、俺の1番の仲良しだった紫耀は少し特殊だった。
彼は、進学はせずダンサーを目指して単身で東京進出すると豪語したのだ。
確かに彼が長年ダンスを習っていたのは知っていたけれど、まさかこのタイミングでそんな決断をするとは寝耳に水だった。
だから、その話を聞いてからというもの、寂しがりな俺は最後の思い出作りとばかりに紫耀と遊び尽くしていた。
「春から寂しくなるなぁ」
『でも俺頑張るから。絶対成功してみせるから、応援してよ。それで、いつか俺が有名になったら、地元の同級生としてインタビュー受けて』
その言葉にドキッとする。
1度目の人生でも、確か同じように言われていたはずだった。
しかし、その時の俺は、この言葉をあまり重くは受け止めていなかったのだろう。今の今までそのことを忘れていた。
俺が傷つけたのは、家族だけじゃない。
紫耀も俺のことをちゃんと大事に思ってくれていたのに、俺があんなことをしでかして死んでしまったせいで、きっと辛い思いをさせた。
でも今度は、絶対にそんなことはしない。
紫耀の言葉は、その決意を改めて胸に刻めと言うようだった。
紫耀と別れ、家に帰って夕飯を食べ、部屋のベッドに転がって考える。
(そういえば、みんな今頃何してんのかな…)
すぐに会える距離に住んでいる人は居なさそうだったから、簡単に探せないことは覚悟していた。
(どうしたらええんやろ…)
俺は悩むことしかできなかったのだが、結果として、ファーストコンタクトの瞬間は俺の思っていたよりずっと早く訪れた。
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わかめ(プロフ) - chacoさん» コメントありがとうございます。そこまで言って頂けるとは…今心臓がものすごくバクバク鳴ってます！笑 引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2020年6月10日 20時) (
レス) id: ebf6dbcbb7 (このIDを非表示/違反報告)
chaco(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。本当にこのお話が面白くて、書籍化して手元に置いておきたいくらい大好きです。毎日更新楽しみにしてます。これからも頑張ってください！ (2020年6月9日 22時) (レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2020年6月3日 0時
