感動の再会 ページ11
ab side
俺がこの世界に戻ってきた時には、家の空気は既に冷え切っていた。
それもそのはず。戻ってきた2012年という年は、ちょうど俺が大学生になった年だった。つまり、俺の思い込みのせいで兄がますます居場所を失い始めた、そんな時期。
(はあ、どうしよっかな…)
一刻も早く皆を探さなければならないが、同じ家に暮らす両親の手前、大学の講義をサボるわけにも行かない。
だから俺は、頭の中で策略を巡らせながらも、表向きは何事もなかったかのように大学へと向かった。
案の定、全く集中出来ないままその日の講義が終わった。図書館にでも寄って帰ろうかと思っていた矢先、突然携帯が鳴った。
見るとそこには、クラスメイトから送られてきたこんなメッセージ。
『目黒蓮って子が阿部くんに会いたいって言ってるんだけど…』
(え、早速？！)
大した手がかりもないし、皆を探すのは休みの日を待ってからにしようかな、なんて考えていた俺は、目黒さんのあまりの行動の早さに驚きを隠せなかった。
こんなにもあっさりと俺を見つけてくれる人がいるとは。しかもそれが、よりによって彼だとは。
後から考えてみれば、通り魔事件の話をしていたのだから、みんな俺の居場所だけは当たりがついたということなのだろう。
しかしそれでも、目黒さんの思い切りの良さや、生きる力の強さ(とでもいうのだろうか)は尊敬するほかない。
取り急ぎメッセージを返し、正門へと向かう。
数分もしないうちに現れた彼は、向こうで見ていた彼よりもまだ少し幼い笑顔を携えていた。
mg「お久しぶり…でもないか。こんにちは、阿部さん」
「昨日ぶり？で合ってるのかなぁ、この場合。随分早かったじゃない」
mg「驚いた？」
「そりゃあね。でもとりあえず、会えて嬉しいよ。とりあえず、どっかでお茶でもしながら話そっか」
俺がそういうと、目黒さんは小さく頷いた。
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わかめ(プロフ) - chacoさん» コメントありがとうございます。そこまで言って頂けるとは…今心臓がものすごくバクバク鳴ってます！笑 引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2020年6月10日 20時) (
レス) id: ebf6dbcbb7 (このIDを非表示/違反報告)
chaco(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。本当にこのお話が面白くて、書籍化して手元に置いておきたいくらい大好きです。毎日更新楽しみにしてます。これからも頑張ってください！ (2020年6月9日 22時) (レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2020年6月3日 0時
