6話 ページ7
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2、30分程経っただろうか。「ん、」と小さく声を漏らして、女の子が少しだけ動く。
隣で見ていたそらるさんも心配そうに女の子を見つめた。
ゆっくりと、まつげの長い綺麗な瞳が開く。頬が赤く染まっていて、それがどこか、その、少し…なんというか、すこしかわいい。
それから少し身じろぐと、彼女は起き上がろうとして、そのまま辛そうに呻いて頭を抑えた。
「だ、だめ…もう少し寝てて」
少しだけ肩に触れてそう言うと、やがてうつろだった彼女の目はしっかりと開いていく。
『へ、…なに、誰、』
みるみるうちにその目は恐怖へと変わり、ジリジリと、少しずつ後ろへ下がっていく。
「君、倒れてたの。覚えてない?俺らここまで連れてきてやったの。ここ、こいつの家。」
『た、倒れてた……』
「そんなパーカー着てるんだもん、そりゃあ熱中症にもなるよ」
『熱中症...』
彼女は僕とそらるさんのセリフをゆっくりと復唱すると、やがて顔を青ざめてこちらに向き直り、深く頭を下げた。
『す、すみません!!ほんとにありがとうございます、助けていただいて、あのほんとに、もう……』
それはもうマシンガントークで、慌てて止めに入る。
「そんな謝らないで……!君が元気でよかったよ、僕らは。」
『も、もう大丈夫なので、あの、帰ります』
そう言って立ち上がった彼女。病み上がりなうな人間がそう簡単に歩けるはずもなく、そのまま前につんのめって僕の腕の中に収まった。
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たぬき(プロフ) - いえいえ大丈夫ですよ。少しキツイ言葉遣いだったのですみませんでした。 (2018年7月11日 18時) (レス) id: 32f3e2553c (このIDを非表示/違反報告)
ねむい - たぬきさん» うわーー!確かにおかしい!アホだーーーー!すみません、御指摘ありがとうございます!修正します! (2018年7月11日 16時) (レス) id: f5222ccbb5 (このIDを非表示/違反報告)
たぬき(プロフ) - これは、補足ですが私、文章で伝えるのが苦手なのでもしかしたらキツイ言葉遣いだったらすみません。m(_ _)m (2018年7月9日 23時) (レス) id: 32f3e2553c (このIDを非表示/違反報告)
たぬき(プロフ) - 最初に夢主さんは、まふまふさんの家に携帯を置き忘れたとなっていたのに、そらるさんと連絡先交換できるのはおかしいのでは??指摘失礼しました。 感想ですが凄い読みやすくていい作品ですね。これからも応援しています! (2018年7月9日 23時) (レス) id: 32f3e2553c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねむい | 作成日時:2018年6月28日 22時