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27話 ページ29

Aside





「よっ、久しぶりだなー。」

『陽介!久しぶりー。』



意気揚々と病室に入ってきたのは、米屋となぜか大量のジュースパックを持っている出水だった。



時間が経つのはあっという間で目覚めてから1週間が経った。でも、米屋が病室に来たのは何気に始めてだった。



『そのジュースどうしたの?』

「俺達からの見舞い品、ジャンケンで買った方が持つっていう勝負で弾バカが負けたからさー。」

「誰が弾バカだ、槍バカ。」

『槍バカ...?』



なんのことだろうかと首を傾げていると、陽介が説明してくれた。



最近のB級ランク戦で米屋が所属している三輪隊は、A級に昇格した。A級になると武器の改造の権利が与えられるから、陽介は弧月を槍型にして、トリオンが少なくても済むようにしたらしい。



『へえ、トリオンの枯渇問題解決じゃん。良かったね。』

「最近ほんと負ける気がしねーよ。Aが近接系だったらサシで勝負したかったけどなー。」

『さすがにスナイパーと弧月じゃ分が悪いからねー。木崎さんみたいに万能手だったら別だけど。』



2人で盛り上がっているとそれを遮るように、出水が私の頰に冷たいジュースパックを押し当てた。



「ほら、早く飲まねーとせっかく冷たいまま運んできた意味なくなるぞ。」

『あー、ごめんごめん。ありがとう、出水。』

「なんだー?男の嫉妬は見苦しいぞ?」

「バッ、そんなんじゃねーよ!!」

「んじゃ、俺みかん味もーらい!」

「あっ!俺が飲もうとしてたやつ!」



病室であることを忘れて2人は騒いでいた。個室じゃなかったら今頃怒られてただろうなー。



出水から貰ったりんごのジュースパックにストローを指してちびちびと飲む。その間に2人の戯れは終わったらしく、陽介は満足気にみかんジュースを飲み始めた。



「いつに退院すんの?」

『あと1週間くらいかなー...?体の調子も割と良いし、ボーダーにはすぐ復帰できるよ。』

「そっかー。まあ、あんまし無茶すんなよ。しんどかったら太刀川さんとか弾バカをしっかり頼れ。」

『言われなくてももう頼ってるよ。なんて言ったって、これからA級1位になる予定の太刀川隊ですから!』

「おー、三輪隊だって負けてねーよ?A級ランク戦楽しみにしとけー。」



そういえば、さっきから出水が黙っているけどどうしたんだろうと覗くと少しだけ不満そうな表情だ。



その様子に疑問符が思い浮かんでいる私と対称的に米屋はクスクスと笑っていた。







.

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作者名:いーす | 作成日時:2019年4月30日 17時

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