傷弾の鳥【出水公平】 (ページ24)

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22話ページ24

Aside

「おねえちゃん？」

曲がり角から半身を出して、小さな女の子がこちらを見ていた。6、7歳といったところだろうか。

「Aの知り合いか？」

『ううん、知らない子だと思う...。』

私は決して記憶力に自信があるわけではないが、今回に至っては本当に分からなかった。

一方、女の子は出水が私の名前を出したことで確信を持ったらしい。

「やっぱり、Aおねえちゃんだ！」

そういって、こちら側に駆け寄ってきた時だった。
普通の人なら体が強張って動けなくなるようなサイレンが鳴り響いた。

「まずいな。」

『っ、うん。』

女の子はサイレンの音で恐怖心が煽られ、体を動かせないでいた。ここは警戒区域。どこにゲートが出現するかも分からない以上、安全な場所に移動するしかない。

しかし、逃げようと思った私達を嘲笑うかのように真っ黒のゲートはすぐ後ろに開いた。中からはバムスターが2体出現した。

「どうやら戦うしかないらしいな。」

『....みたいだね。』

「近くにも別のゲート開いてるっぽいし、他の部隊が来るの待ってたらやられるな...。Aはその子を連れて警戒区域外に移動しろ！俺は敵を対処する！」

『了解！トリガーオン！』

一瞬で黒い服に包まれた後、私は女の子を抱きかかえて警戒区域外に走った。女の子の手は震えていたが、今はメンタルケアをしている時間がない。

出水の手から射出されたであろうアステロイドがバムスターに当たり、轟音と共にバムスターを倒れていく様子が見えた。

出水も私達に合流し警戒区域外に出た。私は女の子を下ろし換装を解いた。続いて出水も換装を解く。

『どうして警戒区域内に入ったの？私達がいなかったら死んじゃってたかもしれないんだよ。』

「ごめんなさい。でも、どうしても、Aおねえちゃんにあやまりたくて....。」

『謝るって一体なにを...？』

「あのね！おねえちゃんのっ！」

「！？、Aっ！」

出水に名前を呼ばれて振り向くと、警戒区域内から取り逃がしたモールモッドが猛烈な勢いでこちらに襲いかかってくるのが見えた。その刃先は女の子に向いている。

今からトリガーを起動しても間に合わない。

今の私にできることーー

私は女の子の方へ走り、小さな体を吹き飛ばした。その直後に腹に凄まじい痛みを感じる。

「A！！」

『ぃ...ずみ...』

意識が暗闇に落ちる中、出水の見たことないくらい焦った顔が見えた。

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