月になりたかった【月島蛍】 (ページ1)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:466 hit

1 ページ1

「…突然だが、皆に悲しい報告がある」

いつもよりも低く、重い先生の声が声を潜めて
話していた生徒の会話を止めさせた。

僕はといえば、特に話す人も居ないわけで、
いつもと同じように変わりのない外を眺めて先生の話を聞き流していたが、僕も同様に先生の方へと
顔を向けた。

何？いつもはおちゃらけた先生が、どうして
そんな真剣に、なんて思った。

隣の人が居ない理由だったり、してしまうのか。

「…昨日、テレビを見ていた奴は分かるだろうか」

僕は生憎、テレビをあまり見ない為、すぐに
察することは出来なかったが、数人が「え…？」
なんていう、唖然としたような声をあげた。

今日スマホでニュースをチェックしたけど、
あまり覚えていない。

ただ、唯一心当たりがあるものが1つだけあった。

「今日の朝、確認できたらしいが」

何故だろう、この胸騒ぎは。

……他人のことだろう、全く。

「昨日の電車の人身事故の被害者が、
うちのクラスの……

星野、なん…だ……ｯ…！」

先生は我慢していた涙を止めることが出来ず、
暫くの間、すすり泣いていた。

それは、僕ら生徒も同じであった。

「星野が…死んだんだ…！！」