【夢短編集⑤】 (ページ35)

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shp…after story × Valentine ページ35

今日はショッピ君と仕事帰りに待ち合わせをして、彼のバイクの後ろ座席に乗って目的地へと急ぐ。
駐車場へ着いてヘルメットを脱ぐと、ショッピ君がびっくりした顔をしてこちらを見ていた。

「ん?」

「いや、すいません…俺なんも考えんと。髪がぐしゃぐしゃに…」

「仕方ないよ。ヘルメットだし、バイクだし!」

「やって、せっかくのドレス試着する日やのに」

「大丈夫!まだ試着なんだから、行こう?」

そう言っても、まだ申し訳なさそうなショッピ君の手を引っ張って、式場の中へと入る。
平日でも試着は可能で、忙しい合間を縫って、二人で見れる日にした。

「これなんかどう?」

「ん～、俺はこっちのが似合うと思うけどな」

「そう?じゃあさっきのと、これにしよ?」

「ほんまに?」

「うん、どうして?」

「いや、俺が選んだん着てくれるのって、やっぱ嬉しいなって」

口元を手で押さえながら言うショッピ君が可愛すぎて思わず抱きつきそうになったのを堪える。

「頑張って着るね!!」

「頑張っても変わりませんよ」

冷たいなぁ、もう。
そういうとこが好きなんだけどさ。

自分で選んだドレスよりも、好きな人が選んでくれたドレスを着るのが1番ドキドキした。
試着室から出ると、ショッピ君は一言だけ「可愛い」と言うと私に近寄ってきた。

「髪、こうしたらもっと可愛いですよ」

うなじにかかる私の髪を、ショッピ君の温かい手で撫でるように上げられる。
鏡越しに目が合い、ドキッとする。

「うん、Aさんやっぱ似合うわ。可愛え」

「あっ、ありがとう」

ふわりと漂う雰囲気に、思わずキスをしてしまいそうになったのをスタッフさんの声で正気に戻される。

「お着替えがお済みになりましたら、会場にご案内します。お料理を準備しております」

二人で慌てて返事をして笑い合い、足早に会場へと場所を移す。

…◆…

「お料理もね、バレンタイン期間だからちょっと特別なんだって」

「へぇ、ラッキーでしたね」

「うんっ」

式場でお疲れ様と言い合い乾杯する。
仕事終わりの疲れた体に、美味しいご飯が染み渡る。

「美味しい～っ」

「ははっ、Aさんが幸せそうで良かった」

「ショッピ君は幸せじゃない?」

「俺?俺は…」

そこまで言って、ちょいちょいと手招きをするショッピ君に、顔を近づける。

「デザートのAさん待ちなんで」

「ちょ!!」

思わずフォークをお皿の上に落としてしまい、大きな音に二人でしーっと口元に指を当てて、笑い合った。