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ht…after story × Valentine ページ27

「何で白ってないんだろうね」

「ウェディングドレスがあるからね〜。ねぇ、ひとらん。これは白に近いんじゃない?」

「ん〜、薄い水色入ってる」

「ふふっ、新郎様の気にいるものがあるといいですね」

「ね〜っ!選ぶの大変です!」

「でもAちゃん、楽しそうじゃん」

当たり前だ、私はようやく好きな人と二人で、好きな人に選んでもらいながら自分が着るドレスを決めれるのだ。
楽しくないわけがない。

「ダメって言う割にはひとらんがこれって言うのないね」

「ん〜?俺はね〜…」

ドレスを選ぶふりをして、私とスタッフさんの視界を体で遮る。
顎をすくわれて軽くキスをして、にっこりと微笑むひとらん。

「Aちゃんが選んでるの見たいから、いーのっ」

「むぁ……ずるいっ!!」

「あははっ、何でもいいよ。どれ着ても、Aちゃんは可愛いから」

ひゃあ〜、そういう事をさらっとこういう場で言わないで。
微笑ましい、みたいな顔でスタッフさんに見られてるのが恥ずかしい。

「でも沢山悩んじゃって、ひとらん疲れるでしょ?仕事もあるのに」

「そんなの気にしなくて良いよ、こっちが優先。沢山悩んで、一番好きなのを選ぼう?」

「…じゃあ、ひとらんも選ぶの手伝って?」

「ふふ、良いよ。どんなのが良いの?ふわふわとか、花が付いてるとか」

「あのねっ」

ひとらんの腕に掴まってドレスを一緒に選ぶ。
好きな人に式のドレスを選んでもらうのがこんなに嬉しいなんて、どんなご褒美よりも嬉しい。



…◆…



「……」

ひとらんの家に帰り着いてから、暫くソファに無言で座っていた。
予想外だった、こんなに疲れるなんて。

「あ!忘れてた」

「ん〜、何?」

ひとらんが甘えるように私の膝に頭を乗せて、お腹をぎゅっと抱きしめる。
ソファの近くに置いていた紙袋から、綺麗にラッピングした箱を取り出す。

「ハッピーバレンタイン、ひとらんっ」

「あ〜、バレンタイン!それ手作り?」

「食べる?」

ひとらんは嬉しそうな顔をして、私の膝の上で仰向けになる。
眠いのかな、と思っていたら徐に口を開けて。

「あーん」

膝枕でさえドキドキしてるのに、まさかあーんまでしてくるなんて。

「Aちゃん、顔赤い」

「だって、それ…恥ずかしい」

「えぇ〜?今更でしょ」

膝の上でクスクスと笑うひとらんが、少しだけ体を起こして私の頰にキスをする。

「バレンタインでしょ?」

「…うん」

「甘いものたくさん、俺にちょうだいっ」

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作者名:芝谷 | 作成日時:2020年2月1日 16時

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