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sha…夢うつつ(1) ページ13

俺さあ、お前にとって何やったんかな。
何でもっと早く教えてくれへんかったん?
俺ってさ、そんなに頼り甲斐ないんかなぁ。

「…どうして黙ってるの?」

「……Aさ、ほんまにするつもりなん」

どっかでさ、俺らって多分両想いやろなって思っててん。
毎日電話して、おはようとおやすみは必ず交わしてさ、俺がどんだけ遅く帰ってきても起きててくれたよな。

「……しなきゃ、いけないから」

「しなきゃいけないって何なん、それがおかしいやろって言ってんねやんか」

「だって…」

好きってお互い言わへんくても、伝わる時ってあるやん。
一緒に歩いてて、前を行くカップルが手を繋いでんのが羨ましかった。

「お前のそういうとこ、嫌いや」

素直になれへん俺はポケットから手を出して、わざとAの手に触れた。

「何で…どうしてそういう事言うの?」

そしたらさ、少しだけ指を絡めてくれたよな。
めっちゃドキドキした、嬉しかった、俺らは通じ合ってるって勝手に思い込んだ。

「思った事はっきり言えよ、隠さんでもええやろ」

「…何それ、どういう意味?」

「俺と終わらせたいから、嘘ついてんねやろ?」

ごめんな、ごめんな。
根性なくてごめん、度胸もなくてごめん。
ただ、受け入れたくないねん。嫌いでええから。

「俺の事、好きじゃないからやろ?」

「…シャオちゃん」

「ええよ、嫌いやったら言うてええから…」

嫌いでええ、友達と思ってるでもええよ。
やって、その方がまだ望みはある。頑張れば、叶うかもしれへん。

「知らん男と結婚せなあかんとか……言わんでや」

なっさけな、ほんまに情けない。
クソガキかよ、まるで自分のもん取られたくなくて泣いてるガキやんか。

「俺以外んとこ、行かんでやぁ…」

「……シャオちゃん」

ふわりとAに抱きしめられる。
初めて感じる、Aの温もり。
嫌や、これが最後なんて嫌や。離したくない。

「何でもする」

皮肉すぎるやろ、最後の日に想いが通じるとかさ。

「…っ、何でもするし、Aが本当の事言ってくれたらっ、俺は何でもできんねやんか!!」

Aの体を抱きしめて、男なのにその胸に抱かれて情けない声を上げる。
なあ、お前のほんまの気持ちを教えて。

「A、A…もう隠し事は嫌や」

顔を上げて、Aの顔を包むと、頰に涙が落ちてきた。

「…嫌だよっ、離れたく、ないよぉ。シャオちゃんっ」

その涙と言葉、信じてええんよな。

「ん、分かった…分かった」

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作者名:芝谷 | 作成日時:2020年2月1日 16時

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