【夢短編集⑩】 (ページ34)

今日:15 hit、昨日:17 hit、合計:226,337 hit

ut…Don't touch me ページ34

「鬱～、ゲームしよっか」

「ええよ」

「お互い触っちゃいけませんゲーム」

「不参加!!」

「認めませーん」

「先にゲーム内容言うべきちゃうか!?耐えれるわけないやろ!!誰とすると思ってんねん!!」

「鬱」

「その俺が耐えれるとでも?」

「先に負けた方が相手の言う事何でも聞く、一日中」

「まあ、そういう条件やったら?俺もやぶさかではないよ」

と言う流れで始まった拷問、もとい焦らしゲーム。
魅惑の罰ゲーム内容に釣られたものの、普段Aにべったりな俺が突然お預けを食らって耐えれるかって言うと。

「A～」

「早くない?」

「まだ負けてへん…せやけど、俺耐えれる気せえへんわ」

「そんなに触りたい?」

ソファに座って足を組んで、素足をふらふらとまるで擬似餌で魚を釣るような仕草。
俺を見下ろす顔は蠱惑的で、こんなゲームなかったらすぐに掴みかかって引き摺り下ろしてあれこれするのに。

「しんどい…枯れる、干からびる」

「あははっ、枯れるって何」

とん、と降りると一切俺に触れずに跨いで行くA。
なんかもう怠いわ、寝た方が楽なんちゃうかな。
そっか、そう言えば編集せなあかんのもあったしそっちに集中したら気も逸れるやろ。

◆

「……鬱?」

「ん～?」

パソコン部屋で編集に集中してる間、煙草を吸う本数が増えるから、Aは服や髪やらに匂いが付くのが嫌であまり入りたがらん。
せやけど今日は珍しく俺の後ろをうろうろ、すぐ様子を見に来る。

「……もう触りたくないの?」

「ん～…」

どこをカットしどこを使うか、音声に集中して字幕を作り、入れるタイミングを調整して…なんてしとると頭の中はそれで埋まる。

「ねぇ…」

「ん～……」

Aの声も遠くに聞こえる中、煙草の灰を灰皿に落とす時、するっと指に絡まる細い指。

「ふふっ、どうしたん?」

指を絡めたまま、まだ火をつけたばかりの煙草を灰皿に押しつけて消す。
椅子を回転させられて、ぎしりと膝の上にAが乗る。

「あ～らら、俺よりAのが耐えられへんかったか」

「だってこのままだと鬱、そのまま寝そうだったんだもん」

「寝えへんよ、寝る前にたっぷり舐め回したろうと思ったったし」

「舐めっ!?やっぱ離れよ…」

俺の膝から慌てて降りようとするAの腰を掴んで、ぐっと引き寄せて胸元に顔を埋める。

「罰ゲーム、忘れてへんよな?」

ゔ…と声を漏らすAを谷間から見上げる。

「俺の言うこと、何でも聞いてもらおか?」