起きて…em ページ8
エーミール、人生最大の危機かもしらへん。
はっはっはっ、どうしようかね、これ。
休みの日、Aさんがうちに泊まったその翌日。
とくに外でデートしようという予定もなく、せっかくなので家で二人きり、ゆっくり過ごそうという事になった。
彼女も読書好きなこともあって、俺の部屋にある本を読みたいと言うので、紅茶を淹れてソファでまったり本を読む事に。
「…すぅ」
窓から差し込む温かい陽光はちょうど良い明るさで心地良い睡魔を誘ったのか、Aさんが寝てしまった。
「ん…」
俺の右肩に頭を乗せて眠る天使、もといAさん。
寝顔が見たい!!
見たいけど動いたら起こしてしまう、動かれへん。
寝顔が、見たい!!あかんかなー!!
「んぅ…」
「ーっ!!〜〜っく」
すりすりはやめて、すりすりはあかん。
めっちゃ良い匂いするって、俺大丈夫か!?
捕まる?いや、自宅や、落ち着け。隣にいるのは彼女です。
左手に本、右手でページを捲る。
その捲る動作でさえ、彼女を起こしてしまうんじゃなかろうか。
せっかく気持ち良さそうに寝とるし、起こしたくはない。
「ん…エミ、さん」
「はいっ!?」
「……すき」
━ タタタタタタタッ、シュポンッ
━ ポンッ、ポンッ、ポンッ
『彼女が寝落ちしました、助けてください』
『鬱:は?知らん爆発して禿げろ』
『トン:あのぉ…自分に聞かれましてもぉ…』
『ゾム:卒業おめでとう、焼肉行こうな!!』
左手で高速タップして助けを求めたけど誰も応えてくれるわけなかったわ。
ゾムさん、ありがとう。一昨日焼肉行ったけど。
気持ち良さそうに寝てるし、俺が理性を保てばオッケーや。
大丈夫、俺はやれる子。
「ん……っ」
腕、ぎゅってされた!!ぎゅってされた!!
あー、あかん!!あかん、これ、だめです。
私のね、えー、なんやろ、私の何かがもう爆発しそうですね、ははは!!
「…Aさん、Aさん」
「…ん、エミさん」
むにゃむにゃしてるー!!俺の語彙力消えたー!!
可愛いという言葉の意味はAさんって辞書改変せな。
「風邪引きますよ?」
「ごめんなさい、肩…」
私、エミさんの肩を枕にして寝てたの?
せっかくのお休みなのに…。
「気にせんで大丈夫やで?眠かったら、もう少し寝る?」
そう言って微笑むエミさんが、私にブランケットを掛けてくれる。
その顔にキュンとして、思わずもっと甘えたくなる。
「じゃあ、もう少しだけ…このまま」
肩に頭を乗せると、エミさんは優しく頭を撫でてくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 894人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：芝谷
| 作成日時：2019年11月6日 19時
