起きて…zm ページ7
徹夜したんやって、仕事から帰ってきたAが言うとった。
俺は先にAの家におってんけど、帰ってくるなりすぐ風呂入ってもうた。
「なぁ〜、何で徹夜したん」
「ゲーム〜」
浴室内から反響して返ってくるAの声。
俺もゲーム好きやし、徹夜したなるんは分かるけど俺が泊まりに来る前の日にせんでもええやん。
「ゾム、いつまでそこいるの〜。逆上せちゃう」
「何で見たらあかんの」
「絶対いや、早く出てかないと知らないからね」
「分かったから、早よ上がってな」
２週間ぶりのお泊まり、めっちゃ楽しみにしとった。
まあ今日と、明日も泊まる予定やけど。
早く〜、A補給したい。
「A!」
「ん…ふぁい」
あかん、こいつ寝よる。
夕飯も済ませて、風呂入っとるしもうほこほこやろ。
一緒にFPSゲームしてたら、やたらFFしてくんなと思ったらコントローラー握ったままこっくりこっくり。
「…起きて」
「起きてるよ…起き、たるよ」
「てるな、起きてへんやん」
「……っは、大丈夫」
うぅ、寝かしたい。寝かしたくない。
やって俺もめっちゃ我慢してんやんか〜。
ずっと帰って来るの待っててんで?
「何で徹夜したん、こっち来?」
「ん〜…」
ソファにもたれて、俺の肩に頭を寄せるとAは心地良さそうに頬擦りする。
顔にかかった髪を耳にかけて、顎をすくって口付ける。
いつもやったら怒られる、歯磨きしてからねって。
けど眠い時とか、寝起きはゆるゆるなA。
「Aが起きひんかったら悪戯すんで?」
「ゾム、だめ…」
「いやや」
耳元で眠たげな声出される方が唆られるわ。
Aのシャンプーの匂い、好きや。
じゃれつくように、ゆっくり床に体を倒してく。
「…A。しよ?」
「……」
「…はえ〜、寝んの早っ」
どんだけ眠かったんやろ。
普通寝る?今のこの状況で、寝る?寝かせへんけど。
「起きてって、A」
「ん〜、ちょっと寝てからぁ」
「絶対朝まで起きひんやろ〜」
「ゾムも、寝よ」
「眠らへんって、俺めっちゃ目ぇ冴えてるもん」
「んぁ〜…はぇ」
「アホ面なってんで〜、A〜。もう、何で徹夜したん」
今日は無理やな、そう思って諦めて寝かせようと思った時やった。
「ゾムとね、たくさんゲームしたいから。仕事終わって…練習、してたら…」
そう言って、Aは小さく寝息を立て始めた。
「そんな理由で…お前、ほんまに…。明日早よ起こしたるからな」
朝からたっぷりしよな、色々と。
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作者名：芝谷
| 作成日時：2019年11月6日 19時
