【夢短編集②】 (ページ6)

今日:5 hit、昨日:13 hit、合計:638,184 hit

起きて…rb ページ6

彼女のAが泊まりに来た夜、今日はホラー映画でも観ようかってなった。
今上映中の、Itの前作。
結構コミカルな部分もあるけど、ピエロって結構不気味なんよな。

「A、寝れるか?」

「大丈夫!でも、怖かったら起こしていい?」

「あはは、ええよ。我慢せんで起こしや?」

「うん、おやすみ。ロボロ」

「おやすみ、A」

多分、怖かったんやろうな。
いつもは腕枕してなんて言わへんのに、腕枕どころか胸元に抱きついて顔埋めて、寝付いたのを確認してから俺も目を瞑る。

「ん…ぐすっ……ぅ…」

ん、なんか誰か泣いとる。
すすり泣く声で目が覚めて、横を見ると俺に抱きついとったはずのAが背中向けて壁際向いて寝てた。

「…A?」

体を起こしてAの肩を優しく撫でて、顔を覗き込むとポロポロ泣いとった。

「A、A!」

「ーっ!!……むぁ」

「よしよし」

揺すって起こすと一瞬ビクッとして、俺やって分かると半ベソでしがみついてきた。

ロボロ、あのピエロを思い出せ。
俺は勇者、いや勇者ちゃう。賢者、賢者でもない。
あ、せや。紳士、紳士でおれ俺。おれちゃう、いやなんかもうわからん。

可愛ぇぇぇってなった。
いやちゃうよ、悪夢見たんやな、可哀想に俺がおるでって思ったけどさ。
思ったけど俺も男やんか!!
彼女がさ、こんな…可愛いしかない。

「ロボロぉ…」

「ん～?怖い夢でも見たんか?」

「ぅぅ…ロボロがピエロに連れてかれたぁ」

「あははっ、俺やったら大丈夫やで?俺の声でビビって逃げてまうかもしれんで?」

可愛いな、ほんまに。
そんな夢で泣いてまうんやな、A。

「居なくなって、寂しくて、どうしたらいいかわかんなかった」

ナイスバルク!!ナイスバルク!!ナイスバルク!!

「ロボロ、どこにも行かないでね?」

「行かへんよ、Aのそばにおるよ」

「ん…大好き」

あぁ、もう。大事にしたいんやって。
せやからこんだけ我慢してんのに、誘ってるやろ。

「…ロボロ?」

「怖い夢、見られへんようにするか?」

「…うん」

こいつ、分かってんのか分かってへんのか。
そういうとこが好きやねんけど。
暗がりの中でも近くにおるから分かる。
ふにゃって溶けそうに笑ったその顔、眠たい顔やんな。

「ふふ、眠たそうやで?」

「ん…ロボロがいるって安心したら…」

「大丈夫やで、悪夢見てそうやったらまた起こすから」

「ぎゅって、しててね」

俺の理性が朝まで保ちますように。

…起こしたらあかんかな。