request…喧嘩×shp�� ページ11
「ショッピの馬鹿!!」
雨の日、校舎の窓を伝う滴みたいに、Aはぼろぼろと涙を流して怒った。
投げ渡された弁当箱が、重い。
落とさへんように抱え直すと、中から何かが落ちた。
拾い上げるとそれはフェルトで作られたお守りで。
「…不器用が、下手なことすんなよ」
あいつが走り去った廊下を見ながら、その場にしゃがみ込む。
「あー!!……俺の阿保」
俺とAは幼稚園からの幼馴染みで、父親同士が同じ職場やったため家族ぐるみの付き合いやった。
通学も一緒やし、週末もほぼ一緒、兄妹みたいに育った。
「A、スカート短すぎひん?」
「…変態」
「こっちは正直そのすくすく成長する足を毎日見んのに飽き飽きしてんねん」
「はあ!?ショッピ、ほんっとむかつく!!」
現在、高校も一緒。
しかも部活も一緒で、サッカー部のマネージャー。
「ショッピ君〜、女の子にそれはあかんやろ〜」
「先輩、もっと言ってやってくださいよ!」
しかもサッカー部のコネシマ先輩とも仲良うなって、最近では３人で帰る事が増えた。
俺、コネシマ先輩、Aの並びで他愛もない事を話しながら部活から帰るのが当たり前やった。
「コネシマ先輩ってさ、彼女いるの?」
ある雨の日の昼休み、いつものようにAから弁当を貰う時そんな事を聞かれた。
「いや知らへんけど、何で?」
「知らないならいい」
「…ふーん、それより指どうしたん?絆創膏だらけやん」
「これ?今度サッカー部の試合あるでしょ?今、お守り作ってんの。なかなか難しくって」
こいつがあ?裁縫とかしたことないのに?
彼女おるか聞いたんて…あぁ、なるほど。
「コネシマ先輩に?」
「え…内緒だし!!あんたにはないから!!」
一丁前に顔赤くして焦って、なんやねん。
別になくても困らんし、いらんし、別に。
「はいはい、ボロッボロなお守りにならんよう頑張ってな?」
「ひっどい!ショッピには絶対作ってあげない!!」
「いや、いらんよ。貰っても迷惑やし」
コネシマ先輩が好きなら、先輩にだけ作ればいい。
俺まで同じの持って勘違いされたら、困るのは自分なんやで?
「…迷惑?」
「コネシマ先輩はどうか知らんけど」
「…か」
「は?」
いつもと違う声音、覇気の無さ。
ふと顔を見れば今にも泣きそうな顔をしとった。
「…A?」
肩に触れようとすると、手で叩くように払われた。
「いい!!触んないで!!」
「え、何で怒って」
「ショッピの馬鹿!!」
払われた手が、ヒリヒリと痛む。
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作者名：芝谷
| 作成日時：2019年11月6日 19時
