【夢短編集②】 (ページ33)

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sha…くせになる甘さ(前編) ページ33

「この女優さん、可愛えよな～」

シャオちゃんとテレビを観ているとよくあること、私とは全くタイプの違う女優さんやアイドルを褒める事。

「この子さ、笑うとほんま可愛いんよな」

「…ふーん」

私はそれが面白くない、誰だってそうでしょ？
彼女の目の前で違う女の子を褒めるなんて、そりゃアイドルや女優に勝てる顔だなんて思ってないけど、だけどなんだか傷つく。

「菅田将暉イケメーンっ」

なのでやり返してみた。
とくに好きな俳優さんとかアイドルはいないけど、目についた人、よくテレビで見る人を褒めてみる。

「Aはそういうのがタイプなんやな」

「えっ、いや」

「かっこええもんな、菅田将暉」

食事中だった、目の前に座ってカレーを食べるシャオちゃんはにっこりと笑みを見せたけど、絶対怒ってる。

ざまあみろ!!

その日、一緒に寝たけど背中を向けられてとても悲しい気持ちになったのでもうやらないと決めた。
ねえ、シャオちゃん。
私も怒ったら、やめてくれる？

「この人めっちゃ綺麗よな～、キツめの顔やけど」

「…ふーん、そうだね」

「この子最近よお見るけど、ほんま可愛えな」

「…そうですね」

「…何?怒ってんの?」

「怒ってないけど?テレビ楽しんだら?私、パソコンで動画観てくるから」

わざと怒ってやろうと思ったけどこの日は酷かった。
可愛いとか綺麗を言う回数が多くて、私の方をあまり見てくれなくて、悲しくてムカついて、どうして私はこんな風になれなかったんだろうって悔しくて。
泣きそうだったから席を立った。

「…A」

食器を片付けていると、後ろから優しく抱きしめられた。
でも、今顔を見てしまうと泣いてしまいそうだから。
泣くのは負けたみたいで、嫌だ。

「無視すんなって、なあ。何で怒ってんの?」

「…怒ってないもん」

「嘘やん、顔が怒ってんで?むぅって口なってんで～?俺にはお見通しやで?」

何でそんな楽しそうな声で言うの?
怒ってるのも泣きそうなのもシャオちゃんのせいだからね?!
わかっててやってるの?

「Aはヤキモチ妬くとめっちゃ可愛なるよな」

「ーっ!!シャオちゃん、わざとなの!?」

その言葉に反応して食器を洗う手を止め、シャオちゃんの方を振り向くとこれまでにないくらい意地悪な笑顔だった。

「あははっ、やっぱ妬いてんねや!!」

「酷い!私、すごく悲しいのに…!!」

「ええな、Aの妬いて怒った顔」

一層歪んだ笑顔に思わず胸がキュンとした時、頬っぺにキスをされた。