【夢短編集②】 (ページ30)

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kn…刺激的な甘さ(後編) ページ30

お風呂上がりで石鹸の匂いのするシッマ。

「しょげんなしょげんな、大した事ちゃうし。心配になるんもあれやろ、俺が好きやからやろ?」

「…ん」

「ぶすくれんなって、可愛いお顔してみ?どんな顔も好きやけど、やっぱAは笑とる顔が一番可愛えで?」

優しく微笑んでくれるシッマに甘えるように抱きつく。
どうしたぁ?って大好きな声が降ってくる。
抱き寄せられて顎をすくわれて、あと僅かの距離で目を細めて笑うシッマ。

「Aからしてくれたら許そか」

「ほんと?」

「ほんと」

シッマの口が動く度に、私の唇に触れてもどかしい。
背伸びして、シッマの頬を両手で包んで引き寄せて、瞳を閉じて自分からキスをする。
優しく迎え入れられて、柔らかく包まれて、呼吸が混じり合う。

「シッマ…」

「なんや、喋んな」

後ろ髪を掴むように、今度はシッマが私の頭を引き寄せてもっと深くキスをする。
私も風呂上がりで湿ったままの頭を引き寄せて、もっとと応える。

「妬くほど好きか?」

「好きだから妬くのっ」

「Aだけやから、安心し」

食むように、噛むように、溶け合うくらいに交わして体が火照ってきた頃。
急に体を離されてお尻を叩かれた。

「早よ風呂入ってこい」

「今言う?」

「終わってからやと風呂待てずに俺寝てまうで?ええんか、腕枕せんで」

歯を見せてニヤニヤ笑うシッマのお腹に軽いジャブを入れる。
入るから出てって!と背中を押して追い出す。

「ひゃあ…」

火照った頬を両手で包んでさっきの事を思い出す。
早く入ってたっぷり甘えよう!!

「Aー!!」

「きゃあぁぁ!!何で開けんの!?バカなの!?」

「誰やこの男ぉ!!」

突きつけてくるのは私のスマホのロック画面に表示された同僚からの文面。

「同僚、そいつ既婚者だよ」

「あぁ、なんやそうか」

納得して出て行くシッマを呆然と浴槽から見送って、さっさと髪でも洗おうと出る。

「おい、A!!」

「ちょっ!!何よもう!!急に開けんのやめてってば!!寒い閉めろ!!」

「誰やこれぇ!!」

「見れるかぁ!!シャンプー目に入るでしょ!?」

「えぇ、読み上げます。名無くんからのお便りです。"年末の予定はどう?"誰やねん!!」

「それ従兄弟だし、大晦日の話よ多分」

「はぁ～、失礼しまし…おい、また来たぞ!!あ、トントンや。この前の鍋ご馳走様でした。俺に言え」

「寒いから早く閉めて!!」

「返してええ?」

「いいから閉めて!!風邪引く寒い!!」

めんどくさいから早く上がろう。