request…喧嘩×shp(special) ページ23
ショッピと喧嘩して、たった一言「先に帰る」と連絡した。
私達の様子が変だと気づいたコネシマ先輩に事情を話し、俺がなんとかしたる!と言われた直後だった。
「あぁ、ちなみにAの御守りは俺のなんで。あと、Aの事それ以上悪く言うんやったら先輩でも許しませんよ?」
聞こえたショッピの声。
その口ぶりは私のために怒ってくれてるみたいで、私はその言葉に期待する。
気まずいまま、雨の中を一人で帰る。
初めてかもしれない。
隣にショッピがいない事が、こんなに寂しいなんて想像もしなかった。
当たり前のように隣にいて、当たり前のように一緒にいて、これからも当たり前にずっと2人で過ごして行くんだと思ってた。
お昼休み、ショッピに言われた言葉がどうしてあんなに悲しかったのか。
どうしてあんなにムカついたのか。
ようやく気づいた気持ち。
「A…」
曇天の雨降り頻る中、私の家とショッピの家のちょうど真ん中にある公園の前。
私の紫色の傘で隠れてあいつの顔は見えない、けれど足元がずぶ濡れだった。
「お前、先帰ったんやなかったんか」
「…ほっといて」
多分、私が帰ってくるまでこの雨の中待っててくれたんだ。
変な期待して、その期待を裏切られるんじゃないかと不安になり、憎まれ口しか出てこない。
「A、俺…」
「お守り、捨てていいよ」
「…は?捨てるわけないやろ」
心臓が、期待に胸を膨らませる。
「どうして?迷惑、なんでしょ?」
「…俺の顔見ろ!!」
傘を持っている手を掴まれて、強引に引き上げられる。
ビニール傘に透けたあいつの顔は酷く歪んでいて、泣きそうな顔をしていた。
「ごちゃごちゃ言わへん、悪かった。やけど、お前もちゃんと言えや!!」
「何を?!言えるわけないじゃん、あんな事言われて!!」
「お前は俺に何でお守り作ってくれたんや!!言われな分からへんやろ!!分からんかってん…俺、阿保やから…」
「…ショッピ?」
「泣かしてごめん…やから、A。頼むから、コネシマ先輩んとこ行かんとって」
傘を伏せて言うショッピの顔は、打ち付ける雨粒でよく見えなくて。
私はあいつの傘に自分の傘を重ねて、私のお守りを強く握りしめているショッピの手を取る。
「行かない、行くつもりないよ?」
「あかん…顔見せられん」
「泣き顔なんて、小さい頃何回も見たよ?」
「…泣いてへんわ」
雨の中、私達の気持ちを現すように重なり合う傘。
明日から、またずっと一緒。
明日からは、手を繋いで。
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作者名：芝谷
| 作成日時：2019年11月6日 19時
