#39 ページ39
連れてこられたのはショッピングモールの非常階段。
店舗が並ぶ華やかなところとは打って変わってじめじめした感じのそこは気分が悪くなる。
「ちょうどいいや、聞きたいことあったんだよね」
パク・ジミンが私に視線を合わせるため少し屈んでじっと私を観察する。
「腕貸して」
私の返事も聞かずに着ていた長袖の袖を捲られる。
「ちょ、なにしてっ」
露わになる傷や痣。
「ねえ、ジョングクのこと好き？」
答えられない。
「なんで腕捲ったんですか」
答えの代わりに質問すれば質問に質問返さないでと笑った彼はこの前の冷たい視線を感じさせないくらい穏やかな雰囲気を纏っている。
「ジョングクが相談してきたの
どうしたら君を助けられるかって」
「っ」
「でもちょっと信じれなかったんだよね
ジョングクが悪い人じゃないって言うのに根拠は一緒にいて楽しいからとか意味不明なこと言うから
きっと理由があってあんな仕事してるんだって聞かないから本当に困った弟だよ」
「ごめんなさい」
汚くて、汚れててごめんなさい
「でもジョングクが君はすごく優しくていい人だって僕らに毎日のように話すから
暇な時間あれば会いに行く楽しそうなジョングク見てたら案外悪い人ではないのかなって
まああいつ単純だから騙されてる可能性もあったけどね」
「……私は汚れてるから」
「ジョングクが言うんだよ理由が絶対あるはずだって
でも君が会ってくれなくなったって言うから
もしかしたらって思って……
強引に腕捲ってごめんね」
「いえ別に」
「僕の知り合いにさ、いたんだよね
そう言う仕事してたのは両親が借金しちゃってそのために自分売ってた子
でもその子には夢があって……
毎日痣増えてく彼女を見てられなくて避けて傷つけちゃったことがあったから」
その子は夢のために頑張るいい子だ。
でも私は夢もなく希望もないただの汚れた女。
天地の差がある
「ジョングクがまた会いたがってるって伝えたかったの」
やめて、やめて。
期待しちゃうから。
生きたいって思ってしまうから。
やめて……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1262人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジョングク」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：志葉 紫
| 作成日時：2022年5月18日 18時
