恋愛ごっこ【JK】 (ページ33)

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「あんた、また腕傷増えてない？」

傷が治りそうになればまた新しくできる傷。

「いいの、別に

もう顔はされないし」

それに最近は羽振りがいいの。

そんなことママには言えないけど。

ほぼ毎日会うようになった男のおかげで今週末でついに借金が終わりそう。

やっとお母さんのお墓いけるよ。

あの家から逃げてからずっとお墓参りを避けてた。

大好きなお母さん。

それでもあの時はいなくなってしまったお母さんに怒りの感情さえ生まれてしまって

そんな私を見て欲しくなくてずっと避けてた。

「今週で終わる」

そういえば何も言わずに頭を撫でてくれるママにお母さんを少し重ねる。

見た目なんて全然違うのにね。

ママが作ったモヒートをぐいっと煽って私はバーを出た。

「会わなくなってくれたんだね」

ベッドの上でだらしなく息を切らしている男は私の髪の毛を撫でながらそう言う。

やっぱりこの男、私つけられてるんだ。

「やっぱり僕のこと愛してるんだね」

そう言われて私は一生懸命表情筋を動かして頷く。

この後くるであろう痛みに覚悟を決めて口を結べば、いい子って言いながら腕をぎりっと掴む男。

私生活の苛立ちをぶつけられてる、あれからずっと。

「今日、延長できないんだよね」

何故か私の予定を把握している男に寒気がする。

「すみません」

そういえば気持ち悪いほどの笑顔でいいんだよと頷かれる。

やけに素直に帰してくれる男に違和感を覚えた。