#24 ページ24
「ごめん、ママ」
掠れる声で謝れば私に違和感を感じたらしいママは位置情報だけ送ってと言って電話を切った。
携帯を持つのも痛い手で位置情報を送れば視界がぼやけていく。
どうしよう、なんだかものすごく眠たい。
今目を瞑ればこのままあの世に行けるかもしれない。
そんな期待を込めて私は目を閉じた。
「A！」
遠くで私を呼ぶ声がする。
「A、起きてってば」
ひやりと頬に感じた冷たさで目が覚める。
「……おはよ」
私を覗き込んで泣いてるママに呑気に挨拶すれば馬鹿と帰ってくる返事。
「迷惑かけてごめんなさい、あの服が破られてしまって……
お金ちゃんと返すので買ってきて欲しいです」
ぎこちなく敬語で頼んでみる。
「今別の人に買ってきてもらってるわ」
そういうママは私の背中に手を回して起こしてくれる。
「った！」
腕に走る痛み。
腕には数カ所赤く腫れていて明日には青くなりそう。
「怪我してるのは腕と顔だけ？」
そう聞くママに視線で布団を指せば
「どこから血出てんのよ」
なんて言われる。
あからさまに焦ってるママに口を開けて見せる。
「もう止まってるけど多分口が切れただけ」
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作者名：志葉 紫
| 作成日時：2022年5月18日 18時
