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呟くキオク ページ6

「……ダザイさんといると…すこしなつかしいなと おもうきもちが いまわかりました」



流した血涙は手で押さえて布団に落ちるのは何とか回避出来たものの、畳に染み付いて現在その染み抜き作業に勤しんでいた。



「どうしたんだい?突然」



太宰はこんな事を言われるのが初めてなのか、染み抜き作業をしてる彼女を遠目に血涙にて濡れたズボンを洗濯機に出していた。



因みに代わりの同じズボンをちゃんと履いてる。



「にてるんです。せんせーと」

「……自分で言うのも何だけど、それは随分と可哀想な先生だね」

「はい。いつも『わたしにとって たにんは みしったきかいの つまったにくぶくろだ』はつげんをしてて うるさかった キオクをおもいだしました」

「存外、君も辛辣だ」



美女からこの言われ様に流石に「せんせー」と呼ばれた人に同情した。



「君は一体何処に居たんだい?」

「しせつ。まっしろなしせつ。たぶん、けんきゅうじょ。そこで、じんこういのうの けんきゅうと どうじしんこうで おこなっていた へいきのかいはつをしていたきがする」

「Aちゃん、記憶が……」

「おもいだした。わたしはハコ。このせかいの ゴミをいれるゴミバコ。はじめは、このせかいに『ホン』をおくった。それから……」

「……何を云ってるんだい?」

「……なにいってるんだろう。ダレのキオクだ…?」



太宰はその時、彼女の目を見て近付いた。



彼女の瞳の下に手を当てて太宰はジッとその瞳を見つめた。



「Aちゃん。眼が少し濁ってる」

「えっ、でも…」



瞬きをして、見えてるか確認した。



「……ちゃんと眼は見えてるんだよね?」

「うん。みえる」

「……なら、大丈夫だ。今日はゆっくりとお休み、Aちゃん」



ゆっくりと手を被せられ目蓋を閉じられる。



すると身体は糸の切れた人形の様に崩れ、太宰の身体に力無く寄り掛かった。



再び開かれた瞳は真っ白な瞳に変わって、太宰はソレが何なのか理解した。



「それで、何が言いたいの?女狐さん」

『…………この世界のゴミ箱。この世界の廃棄物を投棄する為に呼ばれた入れ物。消し切れない思いを留める為の網。振るうチカラも、その一部にしか過ぎない。だから皆、私を恐れた』

「聞かせてくれ。彼女は一体何者だ」



言うべきか悩んだ末、彼女はこう言った。



『初めは人工異能を収納する為の肉袋。次は非異能による生物兵器の開発。……そして___』

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ほんばし(プロフ) - エレンNo2さん» コメントありがとうございます。面白いと言ってくださり、ありがとうございます。自己満足で書いている作品ではありますが、そう言ってもらえるととても嬉しいです。ありがとうございます! (2023年1月11日 17時) (レス) id: cf71fd7287 (このIDを非表示/違反報告)
エレンNo2 - 僕…文豪ストレイドッグス大好きなんですけど、すっごいおもしろかったです! (2023年1月11日 16時) (レス) @page2 id: 84c79903b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほんばし | 作成日時:2020年1月14日 21時

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