困った時は大人に頼る ページ18
白黒のタイルの地面からアンが現れ上空へと逃げるも上空からもう一体のアンが現れた。
「もう一体!?」
「其方は2人なんだから当然でしょ?」
敦は呆気なく捕まり黒い扉へ無数の手によって引き摺り込まれてしまった。
「はいおしまーい!て、言いたい所なんだけど貴女も捕縛対象なのよね。全く……一体全体この女の何処が良いのかしら?」
ルーシーの標的はAに映った。
「聞いてるわよ。貴女は虎の彼と共にいながら、全然役に立っていないそうね?」
無表情で此方を睨みつけた儘、全く動かない彼女にそう問いかけた。
反応も無いAにルーシーは勝手に肯定と決め付けて笑みを深め話を進めた。
「異能力も無ければ才能も無い、かと言って頭も良くない……探偵社では雑務を任されても要領良く熟せない。可哀想だわあ。従わないだけの犬なんて躾して飼っている意味がないもの」
しかしそれでも反応を示さないAに痺れを切らして一つ息を吐いた。
「なぁーんにも反応を示さないのね。詰まんない人。所詮貴女は人の心を掴む為だけに作られたステンドグラス、壊れたら歪になるだけ」
「つまり?」
漸く言葉を紡いで発した彼女にルーシーは矯正器具の付けられた白い歯を見せた。
「容姿だけが取り柄の貴女だけど……その顔を歪ませたら一体どんな醜悪な姿を見せてくれるのかしらあ?」
「……そのまえに、ひとついい?」
「ええ、言う事があるのかしら?」
「ひとりは、イヤなの」
そう言って白衣の男の背中に隠れた。
その様子を見ていた街医者の男は背後に隠れた少女の事を「おやおや」と言いながら見下ろした。
「あら、随分と素直に捕まってくれるのねぇ。それじゃあ特別に貴女の思い通りにしてあげる!おじ様には悪いけど、仕方ないわよね。おじ様の捕まった時の顔が見物だわ」
街医者の男の背後にアンが現れた。
アンの歪な両手が徐々にAと男を捕まえようとジリジリ近寄った。
「……試してみるかね?」
蛇に睨まれた蛙、それよりも恐ろしい何か。
目の前にはその何かを自在に操り目に見えない其れで縛り付ける、街医者とは思えない殺気で此方を見つめる男がいた。
ルーシーもその悪寒に気付いて手足の震えが止まらなかった。
「無理だな。何故なら君は既に負けている。ドアを見るといい」
男の手の平に落ちてきた一片の雪が全てを物語っていた。
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ほんばし(プロフ) - エレンNo2さん» コメントありがとうございます。面白いと言ってくださり、ありがとうございます。自己満足で書いている作品ではありますが、そう言ってもらえるととても嬉しいです。ありがとうございます! (2023年1月11日 17時) (レス) id: cf71fd7287 (このIDを非表示/違反報告)
エレンNo2 - 僕…文豪ストレイドッグス大好きなんですけど、すっごいおもしろかったです! (2023年1月11日 16時) (レス) @page2 id: 84c79903b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほんばし | 作成日時:2020年1月14日 21時