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危ない人 ページ19

其処には吸い込まれた筈の敦がギリギリで踏ん張っていたのだ。



「あっ、ごめん…。にぃに…」



先程の会話でかなりの時間を取っていた事に気付いて彼女は届かない謝罪をした。



「なっ、ドアは慥に閉まった筈…!どうして…」

「君の見落としは一つ…この戦いは始めから2対1だ。ドアが開いた瞬間に、谷崎さんの【細雪】で扉を偽装した」

「そんな、それで部屋へと吸い込む力に腕力だけで抵抗するなんて…」

「君は思い違いをしている」



敦はそう言って洗いざらい自身の内情を彼女に打ち明けた。



「僕は強くも人気者でも無い。寧ろ生きる事はずっと呪いだった。だから他人を妬み怨む気持ちはよく判る」



その悔しそうな表情には、かつて生きる事を否定され続けて来た時の喧騒な顔が滲み出ていた。



「本当は君にこの作戦を失敗して欲しくない、居場所を失って欲しくない。でも僕は弱くて未熟だから他に方法が思い付かない!」



彼が何かを引っ張ったと同時にルーシーの身体も敦に引き寄せられる。



彼女の胴体には黄色いリボンが巻かれてあった。



細雪で隠されていたのだ。



「これは…」

「リボンを君に結んでおいた」



敦はそう言って彼女を引き寄せ掴んだ。



「異能力を解除して皆を解放しろ!でないと、君を奥の部屋に引き摺り込む」

「ッ!?」

「鍵が無ければ扉は開かない。なら君が幽閉されれば扉を開けるものは誰もいなくなる。そうなってから能力を解除しても君は元の世界へは戻れない…違うか?」

「そ、それは…!」

「異能力は便利な支配道具じゃない。それは僕が良く判ってる。自分の創った空間に死ぬ迄…否、死んだ後も囚われ続けたいか?」

「あ、あたしは、失敗するワケには…!」

「今から手を放す。決断の時間は扉が閉まる一瞬しかないよ」

「ダメ!待って……!!」



敦はそのまま、手を放した。



奥に引きずられると共に目の前が真っ暗になった。



そして耳の奥に聞こえる車の音。



その音で目が覚めた。



「……あ、もどってきた」



先程までの光景がまるで嘘のように、今いる世界に戻って来たと実感が湧いた。



「う、うん…。ごめん、ちょっと苦しい…。早く退いて…くれるかい?」



彼女の下には街医者の男、自分の肉が潰している事を悟ると即刻退いて謝罪した。



「どうもすいません」



頭を下げて覚束ない足取りでナオミ達の元へ赴いた。

お節介→←困った時は大人に頼る



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ほんばし(プロフ) - エレンNo2さん» コメントありがとうございます。面白いと言ってくださり、ありがとうございます。自己満足で書いている作品ではありますが、そう言ってもらえるととても嬉しいです。ありがとうございます! (2023年1月11日 17時) (レス) id: cf71fd7287 (このIDを非表示/違反報告)
エレンNo2 - 僕…文豪ストレイドッグス大好きなんですけど、すっごいおもしろかったです! (2023年1月11日 16時) (レス) @page2 id: 84c79903b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほんばし | 作成日時:2020年1月14日 21時

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