刹那の声(＊) ページ12
事務員の仕事とは書類整理の他に来客時にお茶を出したりする給仕の仕事も請け負うのだ。
「君は此処に居給え。ナオミちゃん、お茶出しを頼んでも？」
「ええ、分かりましたわ」
Aはその言葉に絶句した。
「なにすれば……」
「あのソファで横になってて」
その通りにしたが誰も起こしてくれなくなった。
この事実に何とも言えない憤りが襲う。
だが其処は成長を遂げたと思い込ませある結論を考えた。
恐らく太宰は彼らを目の前にした時の自分が如何なるかを予測して自分を待機させたのだろうと無理やり納得した。
「一体どんな話をしてるんでしょうか…？」
「くだらない世間話でもしてるのさ。それか……探偵社を亡きモノにするか」
「そんな…！」
「あくまで予想だよ。それに彼らなら直接手を下すまい」
ソファに横になっている彼女が敦と太宰の会話に耳を傾けず飽きたからと窓側にあるヘリコプターでも眺める事にした。
今でも交通渋滞でヘリの周りには交通整備の人が事故車を扱う様にヘリを避けさせている。
アレを破壊したら彼らは如何やって帰るのだろうと妄想にふけた。
「ん…？あれって」
中から出て来たのは金髪の男、それに茶色い髪をした緑の燕尾服をきた男に赤毛の三つ編みの少女。
後ろ姿だと金持ち男と取り巻きにしか見えないが、一体何しに来たのだと思いたくもなる。
大人しく帰っている姿を見る限り本来の目的が果たせたのかと疑問にも思ったが、そこまでして敦を狙う必要が益々判らなくなった。
【……
「っ！？」
耳元で囁いてくるフルートの様に細くか弱い声色に流暢な英語、途端に胸が苦しくなって誰にも気付かれない様に女子トイレに駆け込んだ。
「なんだ…！？なんだ…！？」
乾いた海の魚が大海を求める、翼を持たぬ鳥が空を夢見る、底無し沼に溺れていく子供が助けを求める。
「はあ、はあ…。まさか…」
【パパの元に行かせて。声が聞こえるなら、パパの元に行かせてよ…！】
「……わたしに、そうするギムはない。それにパパってだれのコト…？」
Aの予想はある程度付いていた。
【さっきまで、このボロアパートにいたじゃない！忘れたとは言わせないわ…私のパパはフランシス・フィッツジェラルドよ！】
普通に話してるにも関わらず、耳鳴りに近いナニカに思わず耳を塞いだ。
卒倒は免れたが、代わりに頭痛だけが残った。
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ほんばし(プロフ) - エレンNo2さん» コメントありがとうございます。面白いと言ってくださり、ありがとうございます。自己満足で書いている作品ではありますが、そう言ってもらえるととても嬉しいです。ありがとうございます！ (2023年1月11日 17時) (
レス) id: cf71fd7287 (このIDを非表示/違反報告)
エレンNo2 - 僕…文豪ストレイドッグス大好きなんですけど、すっごいおもしろかったです！ (2023年1月11日 16時) (レス) @page2 id: 84c79903b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほんばし | 作成日時：2020年1月14日 21時
