すりー。 ページ5
主人公siad
「どぅーん!」
目の前を横切ったのは聞き覚えのある声。
私は声を掛けられていないのにホッとすると、何故か後ろからドドドドと激しく音をたてながら来るのが分かった。
ええー…そのまま過ぎ去ってくれてたら楽だったのに…
「せんせーーい!俺、足速いの見てた!?見てた!?」
「うんうん、見てたから突進してくるのやめようか。これでも私女の子」
グホッと女の子にして情けない声を出す。苦しい。
松野家の五男は手加減ってものを知らない。本気で抱き着いてきて軽く失神してしまいそうだった。
「あ、お詫びにこれあげる!さっき見つけてきたドングリ!でかいから俺の自信作!」
「作ってないのに自信作って…ふふ、でもありがとう十四松くん」
「たっはー!照れてまうがなー!先生、今度は四つ葉のクローバーあげるね!先生と幸せになりたいから!!」
「……十四松くん、チャイムが鳴るよ」
「やっべ、いっけねー!遅刻する所だっぺー!じゃあね先生!」
「はい気をつけて」
ドビュンッと光の速さで消えてしまう五男。
五男くんは知らない。教師と生徒が一生結ばれないことも。
五男くんは知らない。先生が貴方の純粋な想いに気付いている事も。
五男は知らない。兄弟達全員が貴方のライバルだって事を。
ごめんね、純粋な君の想いは密かに大切に仕舞うから、せめて気付かないように、そっと、離れていくんだ。
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作者名:ちーちぬ。 | 作成日時:2017年11月10日 9時