クロスロード (ページ3)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:28,110 hit

心が叫ぶページ3

［ Fan side ］

彼女は私に＂ジャニーズ仁古田Aのファン第１号はあなた＂と言った。私よりも少し年下のアイドルにファンレターを出した私の勇気が報われた気がした瞬間だった。

あの日から、私は変わらずに彼女だけを追い続けてきた。

そして、そんな彼女のソロコンサートが開催されたのが今日のこと。

仁古田Aというジャニーズ事務所の紅一点の魅力や実力が遺憾無く発揮された。

彼女がステージに立つ。

誰にも何も言わせないくらいの説得力のあるパフォーマンス。これが、彼女にしか作ることができない、ジャニーズのエンターテイメント。

Jr.のダンス選抜を従えて0番で踊る彼女ほどかっこいいものはない。

他担から見たらジャニーズっぽくないかもしれないけれど、彼女の基盤をつくるHiphopなどのストリートの要素が存分に詰め込まれ、素人目に見ても明らかに他と違うとわかるくらい難易度の高いパフォーマンスを歌いながら余裕そうな顔でやってのける。

プロだった。
彼女にとって、ジャニーズという＂職業＂は天職なんだと信じて疑わなかった。

でも。

そんな想いを抱きながらも、切なくて苦しくて涙が止まらないのは何故なのだろう。

気づきたくない。嫌だ。心が何度も叫んでいた。
だてに長い間彼女だけを見てきたわけじゃない。ファン第１号の勘は結構当たる。…嫌な予感ほど、確実に。

「今日までみなさんが届け続けてくれたたくさんの愛が形になって実際に目の前に広がっている気がして、愛おしくて仕方がありません。」

「今日を迎えられたから、ジャニーズとして過ごしてきた時間も、感じた思いも、たくさんの思い出も、全部全部綺麗に輝いてくれる気がします。」

「…皆さんにたくさんの心からのありがとうを伝えます。そしてみなさんのこれからが笑顔と優しさで包まれますように。

…それでは、最後の曲聴いてください」

気づかないふりをしていた。答えが出てしまった気がした。
彼女が今日伝えてくれた言葉すべてに、彼女との未来がないこと。

まるで夢の中のような色彩に包まれた彼女は、おもわず目を背けたくなるほどに美しく微笑んだ。

自分を取り巻く全てに言葉にできない『サヨナラ』を伝えるように。

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