She’s Berry

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*yoohei side





Aちゃんとは出会ってから
まだ長い付き合いとは言えないけれど、
案外色んなことがあって


彼女との日々を思い返せば
心の奥底が温かくなるのと同時に
次々とフレーズが湧き上がってきた。




今まで散々苦しんでいたのが嘘みたいに
滑らかに音と音とが繋がっていく。




・・・出来た！会心の出来！




あまりの出来栄えの良さに
興奮して椅子から立ち上がった。


いい曲が出来たって真っ先に伝えたい。
Aちゃんのことを考えたら、
すっごくいい曲が出来たって！




そう思ったらスタジオからロビーへ飛び出して、
辺りをきょろきょろと見渡していた。




・・・まあ、そんなに都合よく居るわけがないよね。




不意な時には出くわすのに、
肝心なときには出会えない。




だけど、今すぐ彼女に伝えたくて。




スマホを取り出して彼女の連絡先を表示させる。
仕事用の連絡先だから、
俺の曲作りなんて彼女の仕事とはまったく関係ないけど。




それでも、
どうしても、
伝えたい。




そして自分自身の気持ちにも気が付いた。




彼女のことが気になっていたけど、
彼女のことを思ったら曲が出来て


そのことを彼女に伝えたくなって、
きっとそれが俺の気持ちのすべて。




やっぱり彼女のことが好きなんだって認めたら
心の奥からどんどん好きだって気持ちが溢れてくる。




Aちゃんは、
いつの間にか俺を病みつきにさせていた
危険な果実みたいだ。




いつの間にこんなに彼女にハマッていたんだろう。
好きにさせられていたんだろう。




この曲をシングルにすることが出来たら、
彼女のあのデザインをジャケットにしたい。


そしたらイメージが違うだなんて、
スタッフにも誰にも、もう文句は言わせない。




だって彼女のことを想ったら出来た曲だよ？
彼女のあのデザインが一番しっくりくるに決まってる。


そしてこの曲をきちんと掴み取ることが出来たから、
彼女のこともこの手にしたい。
この腕の中に収めてみたい。




『すっごくいい曲できた！！』




そう書いたメッセージの先頭にカーソルを動かして
少しでも俺の気持ちに気が付いてもらえたら・・・、
そう思って書き加える。




『Aちゃんのこと考えたら
すっごくいい曲できた！！』




そして、送信ボタンをタップした。





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