She’s Berry

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*yoohei side





「でも時間は守っていただかないと」

「いや、でも俺もさ、ちょっと気持ちが分かるって言うか、」

「・・気持ちが？」

「うん。特にいいものが出来そうな時はここまでやっちゃいたいとかあるし、
もしかしたら前の人もそうかもしれないじゃん？」

「・・・でも、いいんですか？」

「うん、そのかわりAちゃん俺に付き合って？」




掴んだままの腕をくいっと引っ張ると
よろけた彼女が俺の隣にぽすっと座る形になった。




「え、あの私は、」

「俺、ひとりで暇だしいいでしょ？話相手してよ。
あ、・・・さっき忙しそうだったから無理？」

「え、見てたんですか？」

「うん、ビシバシと指示出してるのが見えました笑」

「・・・コーヒー、お持ち致します」

「うん、ありがとー」




あれ？
ちょっと強引に誘い過ぎちゃったかな？




“お持ち致します” なんて、
また堅い喋り方に戻っちゃったけど・・・、


俺に見られていたことをどう思ったのか、
崩れることのない彼女の表情からは読み取れなかった。


それに敬語が抜けない喋り方も
相変わらずのビジネストークを感じさせる。




俺としては、なるべく自然に話してもらいたくて、
フランクに話し掛けてるつもりなんだけどね。


もうちょっとこうさ、飲み会の時みたいな素顔を
見せて欲しいなって思うんだよね。




さっきまでは早くスタジオ入りして
曲を作りたいって思っていたのに、


今はもう、俺の話に笑ってくれた彼女と
もう少しだけ話したいって思っていた。




話相手になってもらう提案に、
彼女からは “はい” とも “いいえ” とも
返事を貰えなかったけど


ふたつのカップを手に持って戻ってきてくれた彼女に
俺に付き合ってくれるんだって分かったら
また嬉しくなった。





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