She’s Berry

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*yoohei side





彼女の職場にあるスタジオでメンバーと音出しをして
ファッション誌の撮影をした日に
Aちゃんからメッセージが届いていた。




『デザインを使っていただけるお話、正式に依頼がありました。
ぜひ使ってくださいとお返事しました』




初めて彼女の方から
プライベートの連絡先にメッセージが入ってきて


まあ、仕事の連絡ではあったんだけど、
やっと使ってくれたなあって思うと
少しだけ顔がにまにましてしまう。




あれからあのデザイン事務所のスタジオが気に入った俺は
ちょくちょく使わせてもらっていて、
今日もそのスタジオに立ち寄っていた。




だけどさっきから、
入り口ロビーにある椅子の上で待ちぼうけ。


スタジオ、いつ頃入れるのかな？
早く入って曲作りしたいんだけど。




そんなことを考えていると、
ロビーにばたばたと入ってくる集団がいた。


側から見ただけでも、
なんとなく焦っている感じが分かる人たち。




なにかトラブルでもあったのかな？
大変だねー、なんて所詮は他人事気分で眺めていると
その集団の真ん中にAちゃんがいるのを見つけた。


身振り手振りを交えながら、
自分の周りを取り囲む数人に指示を出していた。




俺はスタジオを待ちぼうけ中だし、
Aちゃんに会えたので
声を掛けたい気持ちはあったんだけど


メガネの奥の瞳をキュッと光らせて
忙しそうにしている彼女を見て、
頑張ってるなあって思うに留めておくことにした。




俺も負けじと頑張って良い曲作らないとな、って
そう思えたから。




まだスタジオに入れないなら
せめてイメージだけでも膨らませておこう。


そう思ってイヤフォンをして、
スマホに録り溜めてある曲を聴き始める。




スクロールさせながら、
これはどんな曲だっけ？なんて考えていると
目の前に人影が現れた。





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