She’s Berry

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*yoohei side





「Aちゃんはまだ仕事？」

「あー、・・・この通りです」




初めて一緒にコンビニへ行った時と同じように、
たくさん買い込んだコンビニ袋をがさっと持ち上げて
俺に見せて




「まだ仕事すんの？」

「そうなんです」

「もう遅いのに」

「ちょうど今、追い込みの仕事があって」

「そっか。じゃあAちゃんの方こそお疲れ様だね」

「川上さんはもう終わりですか？」

「あ、俺もこのあと撮影が入ってるんだった」

「じゃあ私と一緒じゃないですか笑」




そう言って笑った彼女の顔がまた柔らかくなって、
もう少しだけ、くだけて話してみようと思う。




「外で撮影なんだよ。寒くてヤダ笑」

「あはっ、大変ですね。なんの撮影ですか？」

「ん、ファッション誌」

「ああ！ファッション誌もよく出られてますよね。
じゃあ、川上さん一人の撮影ですか？」

「うん、そう。この近くなんだけどね」

「え！そうなんですか！？」




デザイン事務所の近くで撮影があることを伝えると
彼女の声のトーンが上がった。




もしかして興味があるのかな？
それなら...


“見に来る？”


そう口を開きかけたところで
呼び出し音に邪魔された。




「あっ、私だ。すみません」




彼女のスマホが鳴って、
“どうぞ、どうぞ” とジェスチャーすると
彼女は俺から少し離れた場所で電話に出た。




「帰ってくるの遅いって呼ばれちゃいました」

「そっか。Aちゃんが居ないとみんな困るんだね」

「違いますよ、目当てはこれです」




またコンビニの袋を持ち上げて、
「お腹減って限界らしいです」と
屈託のない笑顔を見せた。




「じゃあ、頑張って」

「川上さんも寒いから気を付けてくださいね」

「あー、ヤダ。寒いのだけ憂鬱ぅー」




大袈裟にそう言えば、
楽しそうに今日一番の笑顔を見せてくれた
彼女の後ろ姿を見送った。




あ、撮影 見に来るか聞き損ねちゃった。




仕事が追い込みって言ってたから
どっちにしろ無理だったかもしれないけど、


今日はいい感じに打ち解けられて
もうちょっと仲良くなれそうな気がしたから
誘うだけ誘ってみたかったな・・・。





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