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突然の 一 ページ22

ーー時は、数日前に遡る。


「お父さん、何か届いてるよ。」

コナンが、アーサー・コナン・ドイルに中島敦という二人との邂逅を果たしたその翌日。巷では「眠りの小五郎」と名高い毛利小五郎の探偵事務所には一通の手紙が届けられていた。
小五郎の一人娘・蘭が「はい、」と差し出したそれは、上品ながらも華やかで高級感のある封筒。宛名は「毛利小五郎様」となっている。依頼、にしてはやや華美すぎるだろう。

「何だ、こりゃあ。」

小五郎は、訝しげな声を上げつつ、くるりと封筒を裏返した。差出人の名は「澤田正憲」となっている。

「澤田さんって、この間依頼してきた人だよね?」

コナンが言うと、小五郎は頷いた。彼は一週間ほど前、この毛利探偵事務所に足を運んで来たのだ。確か依頼内容は、よくある素行調査だった。

「お礼状かなあ?」
「けどなあ。調査自体は直ぐに完了したし、既に礼は言われている。報酬も振り込まれていたぞ。」
「じゃあ、何だろう?」
「とりあえず、開けてみたら良いんじゃないかな?」

コナンが言えば、蘭は「それもそうね」と同意を示し、小五郎は丁寧に封を切った。
中に入っていたのは、薄い便箋と白いカード。
小五郎が便箋を開き、コナンと蘭もそのピラピラの便箋を覗き込む。
内容は、この間のお礼も兼ねてパーティーに招待する、という旨の内容であった。カードの方には「懇親会のお知らせ」という題の元、そのパーティーへの参加を促す文言と日程等の連絡とが連ねてある。

「って、一週間も無えじゃねえか!」

小五郎が声を上げるのも無理はない。何しろ、そこに記されている日付は僅か数日先のものなのである。普通、こういう出欠確認を兼ねた招待状というのは、もっと早く届く。何故、こんな突然に送られて来たのだろうか。

「どうするの? お父さん。」
「僕、パーティー行きたいなあー!」

コナンと蘭は、期待するように小五郎を見つめる。その視線に、彼は「そうだな、」と頷いた。

「まあ、招待してくれるってんなら、ありがたく行かせてもらおうじゃねえか。」

その日は、特に用事もねえしな。
そう言ってはっきりと参加の意を示した小五郎に、蘭とコナンは「いえーい!」とハイタッチを交わす。
普段は呑んだくれの賭け事好きというどうしようもない大黒柱だが、何だかんだ、娘と息子同然の居候には甘い。それに本人も、こういう華やかな場は好きなのだ。





ーーそれは、突然の招待。

突然の 二→←同時刻、魔都「横浜」にて



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美園(プロフ) - 今日はじめて見ましたがとても惹き込まれました! (12月24日 19時) (レス) id: 69d991c9f1 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 大好きな作品です…! (6月29日 17時) (レス) @page1 id: 7b1be7f011 (このIDを非表示/違反報告)
むる - え!?!?!?!更新なくて残念です泣泣泣めっっっちゃくちゃ気になります………すごく読みやすくて設定も凝っててめちゃめちゃ良かったです。 (2022年8月14日 2時) (レス) id: 6ed738b467 (このIDを非表示/違反報告)
ししゃも(プロフ) - 続きが凄く読みたいです。更新お願いします! (2022年7月27日 8時) (レス) @page43 id: 4d9c9f1a17 (このIDを非表示/違反報告)
舞琴(プロフ) - めちゃ続きが読みたいですっ!!!!更新待ってます!!!!!! (2022年4月23日 23時) (レス) id: 6e4f314873 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菫色 | 作成日時:2018年4月29日 20時

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