或る招宴 陸 ページ18
「おお、小林殿! 来てくださいましたか!」
澤田氏は、小林氏を目にするや否や、よく通る声で話しかけて来た。
「ええ。本日はお招きありがとうございます。それから、例の件も。」
「いえいえ、大した事はしておりません。ーーという事は、こちらの方々が?」
澤田氏が、敦達に目を遣る。感じの良さそうな笑みを浮かべている澤田氏に、敦とアーサーは揃って頭を下げた。
「武装探偵社調査員、アーサー・コナン・ドイルです。」
「同じく、中島敦です。」
名を名乗れば、澤田氏は「ほう、」と面白そうに笑う。
「小林殿は、私にとっての友人のような方でありましてね。私の方からも、是非お願いしたい。」
「勿論です。必ず、お護りするですよ。」
アーサーと澤田氏が、握手を交わした。
ーー気の所為だろうか、赤色の閃光が見えた気がして敦は二人を凝視する。が、それもほんの一瞬の事であったし、何か見間違いだったのだろう。或いは絨毯の赤が移って見えただけかもしれない。そう思った敦は、それ以上考えることをやめた。
と、其処で、今度は澤田氏が敦の方にも手を伸ばして来た。敦も慌てて手を出して握手をする。
「彼もそうですが、あなたはまた随分とお若いのですね。」
「まあ、はい。けど頑張ります!」
そう意気込んで見せれば、澤田氏は感心したような表情を見せた。
「それはそれは、頼もしい事ですな。まあそうは言ってもここは折角のパーティーの場であります。どうぞ、お二人も楽しんで下さい。」
気の良さそうに笑って、敦達に云う。そして、偶々直ぐ近くに居た
彼は、澤田氏の呼びかけに対して「はい。」と爽やかに応じた。
「こちらのお三方に、飲み物をお出ししてくれ。うちこのお二人にはノンアルコールのもので頼む。」
「畏まりました。」
感じの良い笑顔で一礼して、彼はその場を去った。
そしてそれとほぼ同時に、澤田氏と小林氏は幾つか言葉を交わし始めた。聞こえてくる単語から推測するに、どうも事業についての話らしい。何だか、耳を傾けているのは気が引ける気がして、敦はそっと外に目を向けた。勿論の事ながら、護衛という立場であるため、気を完全に逸らしたという訳ではない。小林氏は視界に収めたまま、色々な方向に目を遣ってみたのだ。
そうして敦は、此方へ向かってくる男に気付いた。
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美園(プロフ) - 今日はじめて見ましたがとても惹き込まれました! (12月24日 19時) (レス) id: 69d991c9f1 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 大好きな作品です…! (6月29日 17時) (レス) @page1 id: 7b1be7f011 (このIDを非表示/違反報告)
むる - え!?!?!?!更新なくて残念です泣泣泣めっっっちゃくちゃ気になります………すごく読みやすくて設定も凝っててめちゃめちゃ良かったです。 (2022年8月14日 2時) (レス) id: 6ed738b467 (このIDを非表示/違反報告)
ししゃも(プロフ) - 続きが凄く読みたいです。更新お願いします! (2022年7月27日 8時) (レス) @page43 id: 4d9c9f1a17 (このIDを非表示/違反報告)
舞琴(プロフ) - めちゃ続きが読みたいですっ!!!!更新待ってます!!!!!! (2022年4月23日 23時) (レス) id: 6e4f314873 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菫色 | 作成日時:2018年4月29日 20時