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冷え性(3Z) ページ10

冬。
暗くなるのが早くなり、日に日に風が冷たくなっていく季節。私が一番嫌いな季節。
手袋をしていても寒い手を擦りながら、誰もいない教室へと入った。誰もいない教室は、がらんとした雰囲気も相まって外よりも寒く感じられ、コートを脱ぐこともはばかられた。

『こんな日に日直とはほとほとついてない…』

普通日直は二人で回しているのだが、もう一人はまだ来ていないらしい。山崎君が遅れることは滅多にないから、もしかしたら体調を崩したりしてしまったのかもしれない。
思いながら、荷物をおろし事務室へと向かう。廊下に並べられたポリタンクにはストーブに使う灯油が入っている。これを運んでストーブに給油するのが冬の日直の大きな仕事なのだ。

どうやらまだ他のクラスの日直も来ていないらしい。ちょっと早すぎたのかもしれない。

ちゃぷちゃぷと音を立てる重いタンクを運びながら、なんとか教室にたどり着く。

「よう。遅かったじゃねーか」
『何故いる』

ガラリと扉を開けると、総悟が教卓に腰かけていた。なんだかんだいって三年間ずっと同じクラスになっている彼とは結構仲良しである。というか教卓は座るものじゃない。

『これ重いんだから、居たんなら手伝ってくれれば良かったのに』
「日直はAだろィ?それにゴリラのAなら一人で運べまさァ」
『喧嘩売りに来たの?買うよ??』

とぷとぷとストーブに灯油を入れながらそんな軽口。入れ終わったらすっかり冷たくなってしまった私の指を首筋にでも当ててやる。

そんなことを考えていたら、灯油を入れ終わったその瞬間に首筋に冷たさが走った。

『ひゃっ!?』
「どうでィ。俺の指、冷てぇだろ」
『この…』

ニヤリと笑うその首に、負けじと指を押し当ててやる。が、彼はそれをものともせず澄まし顔だ。

「へぇ、Aの指も冷たいねィ。冷え性かィ?」
『…冬は特にね』
「じゃあ俺が温めてやろうか」

そういうなり、彼は私の手を首から外したかと思うと、そのまま指を口に咥えた。

『ん!!??』

驚いて手を退こうとするも、男子の力には敵わない。
温かく柔らかい舌が、ぬるりと指を舐める感触。時折歯と思われる固いものが指に触れて、このまま噛まれるんじゃないかと怖くなるがそんなこともなく、彼の口の中で私の指の冷たさがじわじわと失われていく。

その2→←作者からの謝罪



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作者名:ひつじ | 作成日時:2020年4月18日 16時

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