7月7日 ページ7
「……土方さん。カラスですぜ?」
「……いや、ここにマヨネーズ王国の入り口がだな…」
くぐもった声でガタガタと動きながらいう土方バケツ。
暫くガタガタしていたが、やがて動きを止めてぼそりと呟いた。
「……抜けねぇ」
途端、俺の口角がにやりと上がったのを意識した。
「そーですかィ。そりゃあ仕方ねぇな。変なバケツは置いといて1人で見廻りに行ってきまさァ」
「ちょちょちょ、ちょっと待て総悟!!俺を1人にするな!!あ、いや、怖いとかじゃなくて今攘夷浪士が来たら俺死ぬから!!!」
「それなら本望でさァ」
「総悟ォォォォォオ!!!」
再びガタガタと暴れだした土方バケツを無視し、歩き始める。
「あ、そうだ土方さん。知ってやしたかィ?確かこの辺、出るらしいですぜ」
土方にトドメを刺し、夜のかぶき町を1人で歩く。
時計を見れば午後十一時半。もうすぐ今日も終わる。
……今からAの家に行っても、もう寝てるだろうしなァ…
屋台のラーメンでも食いに行くか、と前の橋を見たとき、見慣れた姿が映った。
「……A?」
『あ、総悟!』
呼び掛けると向こうもこちらに気づいたようで、名を呼びながら駆け寄ってきた。
「な、何で居るんですかィ!?」
『えへへ…見廻りなら会えるかなって思って…』
少し顔を赤らめながらいう彼女が可愛くて、少し顔を反らしながら言う。
「…最近は物騒だから、夜は戸締まりして家に居ろって言ったじゃねぇですか…」
『…ごめんなさい……』
しゅんと頭を下げるA。
しかしはっと何かに気づいて懐から時計を取り出した。
『……3……2……1…』
何のカウントダウンで?
そう聞こうと思った瞬間
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作者名:ひつじ | 作成日時:2020年4月18日 16時