その2 ページ19
「へっ。人様にものを頼むときは、態度ってものがあるんじゃないんですかィ?」
サディスティック星の王子というのは伊達じゃないようだ。沖田はその端正な顔をにたりと歪め、揶揄うように言った。
『……案内してください』
「この哀れなメス豚を案内してください総悟様」
『1人で帰りますありがとうございました』
猫を抱え直しスタスタと歩き始めるA。
『いいんですかィ?こんな暑い中、無駄に歩き回るような事して』
「いつものハチャメチャ仕事で体力は無駄に付いたので大丈夫です」
『アンタは大丈夫でも、その猫はどうでしょうねィ』
途端、緩めるどころか加速しながら歩いていた彼女がピタリと足を止めた。
そして悔しそうな顔をして振り返る。
『よくないですよ、そういうの』
「迷子になるAがいけねぇんだろィ?」
『…この外道』
「ほらほら、早く言わねーと、俺勝手に帰っちまうぜ?」
『……案内してください総悟様』
「あー?聞こえねーなァー」
『こいつッ…!!』
何がなんでもそう言わせたいのかっ!!
ギリリと歯を食い縛り、彼女は覚悟を決めた。
『……こ、この哀れなメス豚を案内してください総悟様』
「ん、良くできました」
付いてきな。
そう言って歩き始めた男の後ろで、彼女が銀ちゃんに沖田総悟を打ち負かしてほしいと依頼しようと固く決めたことを、彼はまだ知らない。
「あっ!A!!…と、クソサド」
「げ、クソチャイナ」
『神楽ぢゃんんん!!!』
見知らぬ通りから見知れた通りへ。
見慣れた暖簾の下で、可愛らしい少女が私の名を呼んだ。
「なんでクソサドがAと一緒にいるネ。Aに変なことしてねーだろーナ!」
ひしっと私に抱きつき沖田さんから距離を取る神楽ちゃんに、仕返しをするつもりで泣きついてみる。
『ううう神楽ちゃんん…私この人に辱しめられちゃったよぉ…』
「はぁ!?おいクソサド!どういうことネ!!」
「おいおい、そりゃねーでしょ。案内してやったのにねィ」
いいながらAへの距離をつめ、腕を掴む沖田。
『え、ちょっ』
言う間もなく沖田がAの腕を引っ張り、そしてキスをした。
「は」
固まる14歳と18歳と、そして満足そうににやりと微笑む18歳。
「躾がなってねぇ豚には、ちゃんと印つけとかなきゃダメですぜィ?すぐ迷子になるんだから」
ホワイトデーというバレンタインに次ぐチョコレート会社の策略にはハマらねぇとか宣う男は大体母親からしかチョコを貰ったことがない→←迷子
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作者名:ひつじ | 作成日時:2020年4月18日 16時