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無性にそんな気分(3Z) ページ17

『死にそう』
「宿題ぐらいじゃ死なねぇからさっさとすすめろィ」
『鬼…』

幼馴染みの沖田総悟の部屋の中。私は一人宿題をしている。

『大体総悟は宿題終わったの?私だけさぁ』
「あんなの配られたときやっちまえばいいんでィ」
『くっそ…』

総悟は頭が良い。私と比べ物にならないぐらいに頭が良い。そして顔も良い。

『あぁ…神楽ちゃんもこれれば良かったのに…』

今日は予定があるとか何とかで断られてしまった。いつもなら二つ返事で来てくれるのに…

「アイツがいたらAは勉強しないで遊ぶだろ。卒業すら危ういんだからちゃんとやりなせェ」
『うぐ……総悟…ここ分かんない…』
「ん、見せてみな」

ずいっと顔を寄せて覗き込む総悟。
私がコイツと出会いたての乙女だったらドキドキするんだろうが、生憎私はコイツと幼馴染みで見飽きている上に性格の悪さも熟知している。

「…なんか今バカにしたろ」
『してないしてない』
「……ここはこの公式を使うんでさァ」
『…………ほぅ。するとどうなりますかね』
「お前…」

あきれるもちゃんと丁寧に教えてくれる総悟。
そういうところは本当に優しいと思う。


『っあー!なんとか終わった!』
「全く…こりゃ試験前にも勉強会を開く必要がありそうだねィ」
『え゛…』
「…進級もギリギリだったのに、その頭で卒業できると思ってんのかィ?」

二年生の終わりに言われた、「お前お情けで進級だからな」の銀八先生の声が脳内に響く。

「ま、それはともかくとして、お疲れ様」
『あれ、今日は総悟がやけに優しい』
「どういう意味でィ。いつも優しいだろうが」
『………』
「ま、良いけどねィ」

そう言って総悟は立ち上がって私の方へと近づき、何もおかしくないみたいな態度で自然に押し倒した。

『……ん?』
「どうした?」
『総悟さん?今何してるか分かってます?』
「俺へのご褒美にAを押し倒している」
『突っ込みどころがありすぎる!!』
「何の危機感も抱かずに一人で男の部屋に来るのが悪いんでィ」
『いやほらだって今日は元々神楽ちゃんも来る予定だったし』
「酢昆布で買収した」
『神楽ちゃーん!?』

買収されたの!?てか酢昆布って安い!!安いよ神楽ちゃん!!!

「A」

目もそらせない間近で総悟が囁く。

「好きですぜ」


さすがにこれは、ドキドキしちゃいますって。




『…私もって言ったらどうなる?』
「今抱く」
『流石に止めて』

迷子→←沖田目線



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作者名:ひつじ | 作成日時:2020年4月18日 16時

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