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それから2人は逢瀬を重ねた。
異形の男と美しく儚い娘
共に語らい、笑い合った。
たまには釣りや山登りも楽しんだ。
しかし、幸せとは長く続かないものなのだ。
ある夜、娘が泣きながら祠へと向かっていた。
狼が遠吠えをし、猪が子どもを連れて歩く時間
娘の涙は止まらなかった。
着崩れ、血に濡れた着物と白く細い腕や足に青い痣ができていた。
その日、たまたま男は祠にいた。
いつもと違う時間に違う様子の娘を目に捉えた。
『なんだ。
どうして泣いている。
こんな時間に何故此処へ来るのだ』
娘は涙を拭い男に微笑みかける
『よかった。
貴方にどうしても会いたかったのです。』
『何故足に血が伝っている。
何故そんなに傷だらけなんだ。』
娘はただ微笑んで男を見つめる。
柔らかい娘の頬に手を伸ばし、その涙を拭ってやれば娘は目を閉じて男の手の温もりを感じている。
『知ればきっと貴方は私を嫌ってしまいます。
私は貴方に嫌われたくありません。』
男は悟った
村の男達が娘を乱暴に暴いたのだと。
その日、娘がいた村は焼け野原へと変わった
男は眠る娘を抱いて炎の上がる村に背を向けた。
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作者名:夕暮れ | 作成日時:2021年7月9日 21時