【D!】夏に溺死 (ページ17)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:9,503 hit

・ページ17

you said

くしゃりと私の頭を撫でた男は､急いで部屋から出て行く

扉の向こうから､パタパタという､スリッパが遠ざかっていく音が聞こえた

壁に掛けられている時計を見れば､そろそろ昼時に差し掛かっている

多少大きな音でくぅ〜､きゅるる…と鳴ったお腹に恥ずかしさを感じるが､リビングに行ったのであれば聞こえていないのでは？と思い､恥ずかしさは顔を引っ込めた

またお腹が鳴らないようにと､近くのミニテーブルに置かれている水の入ったコップに手を伸ばす

すると足が動いたのか､じゃらり…と､忌々しい金属が音を立てた

足下に視線を落とせば､カッチリと足首に嵌められた鈍色の拘束具

それは片方が私の右足に嵌められていて､もう片方はベットの右下の脚に固定されている

鍵は目の前で彼奴に粉々に砕かれたし､はったりだと思い何度部屋を探しても､見つかりなんてしなかった

…いや､そもそもこの拘束具に鍵穴を見たことは無い

どう外すのか､鍵はいるのかいらないのか､壊せるのかどうか。そんな事私は知る由もない

スマホもパソコンも､電子機器は全て取り上げられたし。調べる方法は1つもない

正しくお手上げな状態に､一度舌を打った

というか､そもそもの話。私はあの男の名前を知らない

それなのに元彼との約束だとかなんだとかって､意味が不明すぎる

そして言っとくと､私の彼氏は存命だばぁーか

まぁそんなこと言える筈もないし､結局はこの部屋であの男を待つしかないのだけれど