その道の先へー秘密の部屋①ー(完 (ページ10)

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関わりページ10

皆が我先にと防衛術の教室を出て行く中、Aは残って、ウィリアムとピクシーを回収した。

全てのピクシーを籠に入れ布を元通り掛けた後で、

「手伝いをありがとう。これは先生に返しておくから、もう大丈夫だよ」

「先生、ひとつだけ聞いていいですか？」

「何かな」

「その……ギルガメッシュは、大丈夫ですか？
ギルガメッシュと貴方は、一緒の部屋でしょう……だからあのロックハート先生が、それを嗅ぎ付けて目を付けないとも限らないから」

Aとしては、それが気になっていた。

ギルガメッシュとウィリアムは、共同の部屋だ。

ロックハートがその事を誰かに教わっていなくても、生活を共にすれば知り得る事になる。

「ギルガメッシュは残念ながら、ロックハートに目を付けられたよ。
僕と同じ目の色、だからね」

「うっ」

「でもそんなロックハートを、彼は一喝した。
あんな怒った彼を見たのは、君がクィレルの事件後、気を失って以来だね」

思わず「えっ？」と、Aは聞き返す。

「ギルガメッシュが」

「そう。ダンブルドアに詰め寄ってね。
『何故あんな奴を教師にした！？何故もっと見張らなかった、この雑種め！』って、怒鳴りながらね。
周りの人達が押し留めたから、ギルガメッシュはそれ以上何も言わなかったが」

君は彼に大切に思われているんだね、とウィリアムに言われる。

大切に……それはA自身も、元の世界でも感じていた事だ。

ギルガメッシュだけじゃない。優しい兄さん、面倒見の良い言峰綺礼、優しい「＊＊＊＊」。

……あれ？あと誰だっけ？

優しい「＊＊＊＊」って。

突如ガタガタと音がして思考に耽っていたAは、ビクッと肩を震わせる。

音の出所は、ウィリアムの持っている籠だ。

「ピクシーの塊が溶けたらしい。急いでロックハートに返さないと……。
ところで、大丈夫かい？」

「えっ」

「突然考えた様な表情をしていたから」

Aは大丈夫です、と言って教室を後にする。

既に先程の考えは、頭から抜けていた。

教室から出て行くAの背中を、ウィリアムは紅い眼を細めて、ジッと見ていた。