疑い ページ15
「継承者の敵、か……。一体誰なんだろ？」
Aの隣を歩いている、ハンナが呟く。
あの後、駆け付けた教職員の指示で、寮に戻ることになった。
何故かハリー達は、残ることになっていたが……。
ポツリと呟いたハンナの言葉を目敏く聞き付け、前を歩いていたジャスティンが言った。
「ハリーが怪しいと思う」
「何で？」
「だって、ハリーは例のあの人から生き残ったんだぞ。
それに現場に居合わせていたし」
「でも、ハーマイオニーやロンだって」
「それはそうだが……」
Aのセリフに、ジャスティンは言葉を濁す。
例のあの人から生き残ったって言う理由だけで、継承者と決め付けるのは良くないよね……。
それにしても、とAは思わざるを得ない。
去年のハロウィンと同じ時期に、また事件が起こった事と、明日から好機と畏怖の視線を向けられるであろう、ハリーの事。
彼女はハリーに同情せざるを得なかった。
次の日は秘密の部屋や、継承者についての話題で持ちきりだった。
図書室にある、ホグワーツの歴史についての本もほぼ全て借りられており、予約が必要な程だ。
Aも秘密の部屋について知りたかったが、それに関する本は何一つ無かった。
うんうん悩んでいると、「どうかしました？」と声を掛けられる。
声の主はウィリアムだった。
「ウィリアム先生……あの、秘密の部屋について知りたくて」
「！？」
ウィリアムは目を見開き、彼女を見ていた。
その反応はまるで……。
「知っているんですか？」
「いや、単に驚いてね。丁度、ギルガメッシュもその部屋について知らないかと、今日尋ねられてね」
果たしてそんなに驚くことだろうか？ 秘密の部屋について話題が広まっているから、知りたいとおもうのは当然だと思うが……。
それを言えば話題が逸らされそうなので、Aは聞いた。
「秘密の部屋について、何かご存知なんですか？」
「一応知識としては知ってはいるよ。
今朝、ギルガメッシュにも話したけど……」
ウィリアムから語られる、秘密の部屋について、彼女は耳を傾けたのだった。
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作者名：カフェラテ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shazam03271/
作成日時：2020年9月27日 16時
