穢れた血 ページ13
ドラコの父親である、ルシウスからの過剰な手紙を除けば、特にこれと言った事態は無かった。
しかし……。
「全く、穢れた血は本当に滅びるべきだよな」
その言葉が聞こえて、Aは足を止めた。
声の主はドラコだ。両脇にやや小太り気味な少年を2人従えている。
その2人は、さながらドラコの子分のように見えた。
「あの、それどう言う事ですか？」
「ああ、Aか。実はな」
ドラコからAは、クィディッチの練習でグラウンドをどちらが使用しようか、グリフィンドールと揉めたらしい。
その過程でハーマイオニーが乱入し、彼女はグリフィンドールの選手はお金で選ばれてなんかいない、才能で選ばれてると言ったのだ。
それに腹が立ったドラコは、ハーマイオニーに対して、穢れた血と罵ったらしい。
「そんな事が」
「な、笑えるだろう？ 君も……」
「マルフォイさん、酷くありませんか？」
ドラコはてっきり擁護してくれたと思ってAを見たが、彼女の視線はしっかりとドラコを見据えていた。
「な、何だよ。悪いのは穢れた……」
「その言葉、やめて下さい。吐き気がします」
「で、でも悪いのはあいつだ！ スリザリンだって、努力と才能で……！」
「なら、そうやって言えば良かったじゃないですか。スリザリンの悪い印象を少しでも塗り替えたかったら、それを言えば」
ドラコはそんな事言ったって、信じて貰えないと力無く呟く。
確かに、信じては貰えないだろう。
「マルフォイさん。私は、こう言ってはなんですが、貴方の父親よりは心がある人だと信じています」
「は、何で？」
「私が手紙の件で困っている時貴方に相談したら、父親にやめるべきだと言う手紙を出してくれたでしょう？
心が無い人だったら、そんな事はしません」
これはAがドラコに対して抱いている、紛れも無い本心だ。
彼の父親には悪いが、ドラコには根が優しいと信じている。
「分かった。今回の件は、僕が悪かった。
でも謝りは出来ない。スリザリンでは、毎日の様にその……穢れた血って言葉が流れ出てるし。
グレンジャーに謝りでもしたら、僕の品位が疑われる。
僕だけの問題じゃなく、父上や母上にも」
「そこまで強制はしませんよ。
貴方のその言葉を聞けて、安心しました」
そう言って、彼女はニコリと微笑んだ。
初めて見る、Aの微笑みに、ドラコの心臓はトクンと音を刻んだのだった。
正に、ハッフルパフの姫君だと彼は思った。
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作者名：カフェラテ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shazam03271/
作成日時：2020年9月27日 16時
