せめてその時まで ページ9
「明日は学期末パーティですがA、出席出来ますよね？」
「はい」
ハッフルパフの寮監であるスプラウト先生は、Aが目を覚ましたと聞いて、彼女の見舞いに来ていた。
体調は良好で、学期末パーティにも出られるとの事。
「それを聞いて安心しました。意識を失った、と聞いて心配しましたから」
「ごめんなさい、スプラウト先生」
「謝らないで大丈夫よ。でも無理は禁物ですからね」
スプラウト先生は、慈愛の微笑を浮かべてAに言った。
スプラウト先生が立ち去った後、ギルガメッシュがやって来た。
ギルガメッシュは何故かAを睨んでいる。
「えっと、ギル……うにゃっ！？」
「この戯け！！ のこのこ付いて行きおってからに！！」
「痛っ！ 痛いですよ、ギルガメッシュ！！」
Aの頬を力一杯に引っ張り、ギルガメッシュは怒鳴る。
Aは、涙目で全力で抗議するが、彼はそれに取り合わない。
「一体、我がどれだけ心配したと！
貴様がいなくなれば……」
「うう、ずみません」
ようやく頬を離されて、Aは引っ張られた頬を撫でながら謝る。
それを見てギルガメッシュは、ふんっと鼻を鳴らした後に言った。
「やはり、あのクィレルとやらは怪しかった訳だな」
「知っていたの？」
「やたらと貴様に話があるだなんだのと付き纏っていたのだ、怪しい以外に何がある。
それにあのワザとらしい、どもりの喋りなど……聞いているだけで、腹が立ったわ」
知っていたのなら、何故……。
Aの疑問が表情に出ていたのか、ギルガメッシュは言う。
「我はあの冬木市の様に、元の力が出せんのだ」
「えっ？」
「宝具も使えん。ここは魔力があるにはあるが、冬木市とはまた違った魔力だ。例のあの人が復活すれば、我は間違い無く消えるであろうな」
ここでの魔力はあのヴォルデモートが1番強いであるからな、とギルガメッシュは最後に付け加えた。
衝撃の告白に、Aは言葉が出て来ない。
ギルガメッシュは今まで浮かべた事のない、優しい微笑を浮かべて……。
「だから我が消えた後も、我が安心出来る強さになってくれ。
この世界で生き残り、無事に元の世界に帰るまでな」
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作者名：カフェラテ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shazam03271/
作成日時：2020年9月5日 10時
